1 FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした

きむらや

2016年9月2日

インタビュー01 純和風の落ち着いた個室で旬の海鮮料理が楽しめる

 いわき駅前のメインストリートを300mほど南下して右折すると、真新しい和風の料理店が見えてくる。そこが、「海鮮四季工房かいせんしきこうぼうきむらや いわき店」だ。震災しんさい前は楢葉ならは町と富岡とみおか町に店を構え(現在は休業中)、震災しんさい後の2012年からはいわき駅前にて開業。2016年4月に今の場所に移転した。今回は、きむらやご自慢じまんの料理を紹介しょうかいするとともに、木村重男・久美恵ご夫妻に、新店舗てんぽ開店までの経緯けいいと本店のあるふるさと楢葉ならは町への思いを語っていただいた。

お店紹介しょうかい

 「海鮮四季工房かいせんしきこうぼう きむらや いわき店」の自慢じまんは、しゅんの素材にこだわった、活きのいい海鮮かいせん料理が楽しめることです。人気のメニューは、お造り大漁り、サザエつぼうに焼、カレイの唐揚からあげなど。

 「新鮮しんせんな食材を使い、その本来の味を引き出すことを大切にしています」と語るのは、店主の木村重男さん。とくに、先付けから始まりデザートまでの流れの中で、季節が感じられるコース料理がおすすめとのこと。

 店内は、すべて純和風じゅんわふうの個室からなっており、完全予約制で数人から数十名までの会合が可能。落ち着いた雰囲気ふんいきの中で食事ができるので、仕事が一区切りついたときの慰労会いろうかい歓送迎会かんそうげいかい、ちょっといいことがあったときの会食に最適です。

海鮮四季工房かいせんしきこうぼう きむらや 新いわき店
住所:福島県いわき市平南町70-1
電話(お問い合わせ番号):0246-24-8254
営業時間:平日・土曜日 17:00~22:00(ラストオーダー21:00)完全予約制

──以前はいわき駅前にお店がありましたね。

重男さん:

 今年(2016年)の4月27日に現在の店に移転したばかりです。いわき駅前店は入れるのが30名ほどとせまかったので、予約がなかなか取れなくてお客様に大変ご迷惑めいわくをおかけしていました。現在の店は部屋数が増えて、少人数の部屋から大きな和室までありますので、さまざまな会合や宴会えんかいに対応できるようになりました。

──もともとは楢葉ならは町でお店をされていたんですね。

重男さん:

 父の代から楢葉ならは町で鮮魚せんぎょ店をしていて、同じ建物に「海鮮四季工房かいせんしきこうぼう きむらや」本店を開業したのがはじまりです。新鮮しんせんな海の幸を使った料理が好評をいただき、2010年11月には富岡とみおか駅前に約100人のお客様が入れる富岡とみおか店を開業しました。ところが、その4カ月後に大震災しんさいが起きてしまったのです。家族で一時新潟にいがた避難ひなんした後、むすめの高校進学の関係もあり、1カ月後には故郷に近いいわきにもどってきました。

久美恵さん:

 とにかく営業を再開したい一心で、まずは楢葉ならはでもやっていた仕出し弁当の仕事を2011年7月からはじめました。いわき市内も徐々じょじょに落ち着きを取りもどして、お客様から「夜、一杯いっぱい飲める場所がほしい」「仲間が集まれる場所があるといいなあ」という声を聞くようになり、応援おうえんしてくださる方もいて、いわき駅前店を2012年1月に開業したのです。

──お客さんの反応はどうでしたか。

重男さん:

 駅に近いということで、出張や一時帰宅きたくでいわきに来て、夕食に立ち寄ったという方も多くいらっしゃいました。大変な状況じょうきょうの中で、きむらやがいこいの場となると同時に、避難ひなんしていた知人が偶然ぐうぜん顔を合わせて近況きんきょうを語り合う場になるのを見て、「だれよりも早く、いわきに店を開いたかいがあった」と感無量でした。

久美恵さん:

 わたしたちは、震災しんさい前と同じ料理を提供ていきょうすることを心がけました。当初は、7わりほどが双葉郡ふたばぐん出身のおなじみの方々で、「ここに来ると幸せなときを思い出す」「ここで食事をすると元気が出る」と言ってくださるのがうれしかったですね。

味、雰囲気ふんいき、おもてなしの三拍子さんびょうしがそろったお店に

──再開されてみて、ご自身の感触かんしょくはいかがでしたか。

久美恵さん:

 慣れない土地で仕事をするのですから、大変でした。また、当時はコンビニもなく、お弁当の需要じゅようが高くてとてもいそがしかったですね。夜は早くて23時ごろに帰宅きたく。朝はお弁当の仕事もあるので、3時か4時に起きるという生活が続きました。それでも、周囲の友人や以前のスタッフが集まって一生懸命けんめいやってくれたのが、何よりのはげみになりました。厨房ちゅうぼう機器や食材のメーカーさんにも助けられましたね。

──ところで、新しいお店では何を大切にしていますか。

重男さん:

 以前の店も同じですが、料理については、しゅんの食材を大切にすることを心がけています。そして、味がよく、雰囲気ふんいきがよく、スタッフのおもてなしがよいという三拍子さんびょうし徹底てっていして実践じっせんしているつもりです。とくに、おもてなしについては、料理以上に気をつけてお客様に満足いただけるように努力しています。

──将来しょうらいの目標をお聞かせください。

重男さん:

 実は、いわき市内では楢葉ならは町の代表のように思われていることもあって、同郷どうきょうの人たちに「きむらやさんは楢葉ならはに帰らないの?」とよく聞かれます。自宅じたくもお墓も楢葉ならはにあるので、帰りたい気持ちがあるのはもちろんですが、今までいわきでやってきた実績もありますし、今できるベストの選択せんたくはこの店を繁盛はんじょうさせていくことですね。

 みなさんには、「機がじゅくせば、いずれは帰るという気持ちでいる」と答えています。今後は、店を任せられるスタッフを育成して、現在のいわき店を続けながら、いずれは、楢葉ならは本店や富岡とみおか店の再開を目指していきたいと考えています。

  • 夫の重男さんと妻の久美恵さんの
    二人三脚ににんさんきゃくで店をり上げてきた
  • 「味、雰囲気ふんいき、おもてなしの三拍子さんびょうし
    そろえてお待ちしています」と語る重男さん
  • 「お客様や周囲の人にめぐまれて、
    ここまでやってこられました」と語る久美恵さん
  • 純和風じゅんわふう
    落ち着いた外観
  • 数名から数十名まで収容しゅうようできる個室がそろっている
  • あんこう鍋(4~5人前)

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