1 FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした

2016年9月20日

インタビュー02 「思わず行きたくなるお店でありたい」店主の願いを体現した料理でおもてなし

 いわき駅から徒歩5分、活気ある平和通り商店街の一角にあるのが「旬香酒房しゅんかしゅぼう かどや」。震災しんさい前には、富岡とみおか町で和食店を営んでいた菊地きくち義一よしいちさんが、2013年に開いたお店です。店や料理に対する思い、そして故郷の富岡とみおか町に対する思いを菊地さんにうかがいました。

お店紹介しょうかい

 「旬香酒房しゅんかしゅぼう かどや」は、いわき駅前から徒歩5分。いわき随一ずいいち繁華街はんかがいである銀座ぎんざ通りの南、平和通り商店街に位置する便利な立地です。広々とした店内は、菊地さんの人柄ひとがらを感じさせる落ち着いた雰囲気ふんいき。1階は足がばせるりごたつ風のカウンター席、2階は宴会えんかいに便利な個室です。

 魚料理を中心とした和食に加えて、洋食のメニューもそろっており、幅広はばひろそうに愛されています。人気のメニューは、しゅん新鮮しんせん魚介ぎょかい刺身さしみを使った「親方気まぐれ盛合もりあわせ」、あぶらの乗った穴子あなごが味わい深い「煮穴子にあなごのあぶりつまみ」、長時間煮込にこんだうまみたっぷりの「牛すじ牛もつ赤ワイン八丁味噌煮込みそにこみ」など。バラエティーに富んだメニューと親しみやすい雰囲気ふんいきが相まって、毎日でも通ってみたいと思わせるお店です。

旬香酒房しゅんかしゅぼう かどや
住所:いわき市平二町目58-1
電話(お問い合わせ番号):0246-23-6003
定休日:日・月曜日 (日・月が連休の場合は、日曜営業)
営業時間:17:00~23:00(ラストオーダー22:30)

お客様に喜ばれることを最優先さいゆうせん丁寧ていねいに手作りした料理を提供ていきょう

──富岡とみおか町でお店を開いていたとうかがいました。

菊地さん:

 「かどや」は、祖父が双葉郡富岡町ふたばぐんとみおかちょうに開いたうどん屋がはじまりです。3代目となるわたしが、東京の和食店や鮨屋すしやで学んできたことを徐々じょじょに取り入れてメニューのはばを広げました。そして2008年に店をリフォームして、約60名が入れる和食店を開いたのです。

──2013年に今の店を開いたきっかけは?

 震災しんさい後、むすめが住んでいる東京でしばらく仕事をしていましたが、いわきの介護施設かいごしせつにお世話になっている母に会うため、時折、いわき市内にはもどってきていました。そこで、富岡とみおか町出身の知り合いから、いわき市内で店を開くためのアドバイスをいろいろといただいたのです。

 わたしもそろそろ店を開きたいなと思っていたこともあり、1年近くかけて物件をさがし、今の場所での開店を決めました。

──どんな想いでお店を開いたのですか

 自分が行きたい、食べたい店にしようということが基本にありました。

 富岡とみおか町では祖父や父から受けいだことを気にかけながらやる必要がありましたが、その点、ここなら心機一転、お客様に喜んでいただけることを最優先さいゆうせんにして、自分のやりたいことができます。そこで、ジャンルにとらわれず、和食だけでなく洋食も加えることにし、居酒屋のような形にしました。

 既製品きせいひん冷凍れいとう食品を使うのではなく、丁寧ていねいに手作りした料理を提供ていきょうし、どんな人にも親しまれる店を目指しています。

当時の仲間といつかは富岡とみおかの本店を再開したい

──このカウンター席はくつろげますね。

 1階はすべてカウンター席で10名ほどがすわれます。実は、富岡とみおかの店のリフォームをしてくださった方に内装ないそうをお願いしたもので、似たような感じに仕上げていただきました。おかげさまで、自分の家で食事をしているようで、くつろげるという評判をいただいています。2階には18名+8名の個室があり、それぞれ半分ずつに仕切ることもできます。

──お客様の反応はどうですか?

 いわきといえば、福島県浜通はまどおりの中心都市です。最初のうちは、いわきで通用するのかという心配もありましたが、おかげさまでお客様に喜んでいただき、常連の方もできました。目指してきたものに間違まちがいはなかったと自負しています。

 日によっては、双葉ふたば郡出身のお客様が半分以上になるときもあります。震災しんさいで各地に行かれた人が一時帰宅きたくでいわきに立ち寄った際に、たまたまこの店で再会するという場面も何度かありました。また、1Fの作業員の方々もよくグループでおしになっています。

──名刺めいしには、富岡とみおか本店は「一時休業中」と記されていますね。

 富岡とみおかの店をいつか再開したいという気持ちから、そう書いています。富岡とみおか町の帰宅きたく目標は2018年4月なので、当時の仲間たちにもぜひ一緒いっしょに仕事をしたいと言っています。

 とはいえ、せっかくいわきの方々に受け入れていただいたので、こちらの店を続けていきたいという気持ちも、もちろんあります。人に任せるのかわたし自身が行ったり来たりするか、あせることなくじっくりと考えて結論けつろんを出そうと思っています。

  • 店主の菊地義一さんは1958年生まれ。
    両親の影響えいきょうで子どものころから料理に興味を持っていたという
  • 2部屋ある個室は18名と8名が定員で、
    それぞれ半分に仕切ることができる
  • 店主の落ち着いた人柄ひとがらがにじみ出る、居心地のいいカウンター席
  • 若草わかくさ色のあざやかな暖簾のれんが店の目印

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