長らく取り組んでいる汚染水対策のうち、9月には「サブドレン」と「海側遮水壁」が完成しました。サブドレンとは、地下水をくみ上げる井戸のことです。1~4号機の建屋のまわりにあり、山から流れてくる地下水をくみ上げることで、建屋に流れ込む地下水の量を減らします。くみ上げた地下水は、専用の設備できれいにして水質を確認したうえで排水しています。海側遮水壁は、建屋と海の間に設けた金属製の壁のことで、汚染された地下水が海に流れ出ることを防ぎます。
地下水の流れ込みをサブドレンで大きく減らし、建屋のまわりをすり抜けた地下水も海側遮水壁によって海に出ないようにするしくみです。さらに、建屋を囲む部分の土を凍らせることで地下水の流れ込みを減らす「凍土方式の陸側遮水壁」は、難しい工事が続きましたが、山側の部分が9月に完成しました。
すでに外洋はもちろん、湾内のほとんどの場所で、放射性物質の濃度は機械で測れないほど薄くなっています。さらに、これらの工事が完了したことで、建屋に近い岸辺でも水の浄化が大きく進むことでしょう。1、2カ月のうちに、その効果は数字に現れてくるはずです。
1Fで仕事をする方々にとって、さらに安全に働くことができる現場となり、笑顔でお帰りになれるように改善を進めてまいります。
一方、残念ながら8月8日には、バキューム車タンクの作業において蓋を閉じる操作で、蓋にはさまれて作業員の方が亡くなるという重大事故が起きてしまいました。事故の大きな原因として、どのような危険があるか作業前の確認が足りなかったこと、ともに作業する人とのコミュニケーションが不足していたことなどがあげられます。
この事故を受け、8月10日にはすべての作業をいったん中止して、重機にかかわる作業の安全総点検を行いました。そして、安全総点検日とした8月11日から9月8日までの間、現場で働く企業の方々の声をもとにして、320におよぶ改善点を確認。こうした事故を絶対に繰り返さないことを誓いました。
同時に、1Fではさまざまな施設も着々と整えています。7月には休憩所が完備されました。改修中だった食堂は8月に再開して、おいしいという評判を得ています。ゆったりとくつろげる休憩場所と温かくておいしい食事は、元気で安全に仕事をするために欠かせないものです。ぜひご利用ください。
また、救急医療室(ER)では、みなさまの健康を守るために、24時間365日医師が待機しています。「ちょっとお腹が痛い」というのでもかまいません。少しでも体に不調を感じたら、がまんすることなく気軽に訪ねていただきたいと思います。