2016年7月4日
燃料取り出しに向け、調査や作業を1~3号機で進めています
燃料取り出しに向け、様々な調査や作業を1~3号機原子炉で進めています。1号機では、原子炉建屋の上にあるガレキを取り除くため、4月26日と27日に建屋の南東側にカメラを入れて、使用済燃料プールの回りの様子を調べました。
2号機では、溶け落ちた燃料の位置を調べるために、宇宙から地球にふりそそぐミュオンという素粒子を使った測定を、3月22日から進めています。
3号機では、燃料取り出し用カバーの設置に向け、原子炉建屋最上階の床に遮へい体(放射線を通さない壁)を作っています。
1、2号機の燃料取り出し開始は2020年度、3号機の燃料取り出し開始は2017年度を予定しています。
(A) 陸側遮水壁の状況
3月31日に海側および山側の一部の凍結を始めた陸側遮水壁は、凍結範囲の約9割の地中の温度が0度以下となりました。また、遮水壁の内側と外側との地下水位も、少しずつ大きくなっています。引き続き状況を確認しながら、必要な箇所に対策を講じていきます。
(B) 1号機について
- 建屋内部にカメラを入れて燃料プールを調査しました
建屋のガレキを取り除く手順を決めるために、崩れた屋根下の南東側にカメラを入れて現在の様子を調べました。その結果、使用済燃料プールや冷却装置にただちに影響を与えることはないと確認しました。5月30日からは、崩れた屋根上の小さなガレキの吸引を始めました。 - タービン建屋にたまった汚染水の処理を進めます
タービン建屋にたまった汚染水を減らすため、地下水の流れ込みを抑えるとともに、たまった水を浄化する作業を続けています。今後は、水を移すポンプを追加するほか、泥やサビなどもきれいに片づけていきます。2018年度には、たまった水の放射性物質の量を半分に減らし、2020年にはタービン建屋内にたまった水の処理を完了する予定です。
(C) 2号機について
- 溶け落ちた燃料の様子を宇宙線ミュオンで調査しています
原子炉建屋内部は放射線量が非常に高いため、内部の様子を調べる方法の一つとして、宇宙線ミュオンを利用しています。ミュオンは、密度の高いものは通り抜けにくいため、建屋の反対側まで通り抜けた宇宙線の数を測ることで、レントゲン写真のように燃料や原子炉格納容器などの位置を調べることができます。順調にデータが得られており、7月まで測定を続ける予定です。
(D) 3号機について
- 原子炉建屋最上階への遮へい体設置で効果がありました
原子炉上部を覆う床に、放射線を通さない遮へい体を設置したことで、床面の線量が323mSv/hから3mSv/hに減っていることが確認できました。また、3号機から数百m離れた地上の線量も、約10%低下しています。 - 高所除染装置(ドライアイスブラスト装置)の実機による検証をしました
原子炉建屋内の高い場所を除染するために、高所除染装置(ドライアイスブラスト装置)の実機による検証を行いました。その結果、吸引と組み合わせることで放射線量を5分の1にするという目標を達成しました。さらに、実際の運用に向けて検討を続けていきます。
廃棄物処理建屋を結ぶ配管
プロセス主建屋の北側には、廃棄物処理建屋を結ぶ配管があり、2014年度からたまり水の放射線量が上昇していました。しかしその後は、連続した水の流入がないことから、配管の充填と水の移送を5月10日から始めました。6月中に終わる予定です。