2018年10月11日
建屋滞留水処理の進捗状況
建屋滞留水については、建屋外への漏えいを防ぐため、周辺地下水位より低くなるよう水位を管理しています。中長期ロードマップでは、2020年の滞留水処理完了※に向けて、原子炉建屋から他の建屋へ滞留水が流出しない状況を構築するため、建屋内水位を順次引き下げ2018年内に1、2号機間および3、4号機間の連通部を切り離すことを目指すとしていました。
建屋滞留水水位を順次低下させてきた中で、1号機側、2号機側の滞留水水位が1号機廃棄物処理建屋の床面を下回り、安定的に水位を制御できていることを確認したことから、9月13日、1、2号機間の連通部について切り離し「達成」と判断しました。
3,4号機間の連通部の切り離しは、2017年12月に達成しており、今回をもって、中長期ロードマップにおいて2018年内の目標としていた「1、2号機間および3、4号機間の滞留水連通部の切り離し」を達成しました。
これにより、滞留水を号機ごとに管理することができるようになりました。
引き続き、2020年内の建屋滞留水処理完了に向けて、順次水位低下を進めていきます。
※循環注水を行っている1~3号機原子炉建屋以外の建屋の最下階床面露出
◇1号機燃料取り出しに向けた対応状況
1号機原子炉建屋の南側に堆積しているガレキ等の撤去やその際の使用済燃料プール保護等の準備作業を行うアクセスルートを確保するため、9月19日よXブレース(X字型の補強鉄骨)4箇所の撤去作業を開始(耐震性確認済)し、9月25日に西側1箇所の撤去が完了しました。
撤去作業中は放射線やダスト管理を徹底し、ダストモニタやモニタリングボストに有意な変動はありませんでした。
引き続き、安全最優先で残り3箇所(東側2箇所、南側1箇所)の撤去作業を進めてまいります。
【切断作業の状況】
【Xプレース撤去後の状況】
◇2号機燃料取り出しに向けた対応状況
原子炉建屋上部解体の作業計画立案に向けて、オペレーティングフロア※の全域調査を計画しています。
調査に先立ち、8月23日よりオペレーティングフロア内の残置物移動・片付け作業を実施しており、9月10日には、過去の調査で建屋内に取り残されていた遠隔操作ロボット(Warrior)を今後の作業に干渉しないよう移動しました。
建屋外への影響はないものの、作業中にオペレーティングフロア内でダスト濃度の上昇傾向が確認されたため、残置物撤去作業範囲に散水を実施し、ダスト飛散抑制効果を確認します。
引き続き、安全最優先で残置物の移動・片付け作業を進めてまいります。
※点検や燃料の交換等を行う原子炉建屋の最上階(「オペフロ」という)
今後の作業に千渉しないよう現在はオペフロ内南東側に仮置きしています。
Warriorが引っかかっていたフェンスも片付けました。
◇3号機燃料取り出しに向けた対応状況
8月8日に発生した燃料取扱機の不具合(使用前検査中に警報が発生)の原因調査の結果、複数の制御ケープルに断線などの異常が確認されました。設備の潜在的な不具合を抽出するため、9月中に仮復旧し、年内を目途に安全点検(動作確認、設備点検)および品質管理について確認を実施します。
この結果を踏まえ、必要な対策の実施、復旧後の機能試験、運転・トラブル訓練を行います。
これに合わせて、工程についても精査・見直しを行うとともに、引き続き、安全最優先で作業を進めます。
◇地震・津波対策の進捗状況
引き波による建屋滞留水の流出防止ならびに押し波による建屋滞留水の増加の抑制を目的に、建屋開口部の閉止作業を実施しています(61/122箇所完了)。
また、重要設備の被害を最小限に抑え、廃炉作業全体の遅延リスクを緩和させるため、切迫性が高いとされている千島海溝津波に対して、既設の防潮堤を北側へ延長することを検討しています。
引き続き、開口部閉止作業は、安全最優先で進め、防潮堤については、実施中の廃炉作業に対する影響を極力小さくし、早期に完成させることを念頭に具体的な検討を進めます。
対策前
対策後
防潮堤設置の検討状況