2018年11月20日
3号機燃料取り出しに向けた不具合の原因調査の状況
これまでのクレーンの電圧設定ミスや燃料取扱機のケーブルの腐食・断線等、一連の不具合について、当社の調達における品質管理の問題点を抽出した結果、
① 設計の特殊性に鑑み、具体的に工業規格を明示して要求すべきであったこと、
② 特に、海外製品や初めて参入するメーカーの製品については、製品の仕上がりだけでなく途中段階で品質を確認する必要があったこと
といった、より手厚い対応が必要であったことが明らかになりました。
今後、これらの問題点を踏まえた対策を検討してまいります。
また、設備の不具合発生リスクを抽出するため、9月29日に燃料取扱機の仮復旧を行い、安全点検(動作確認、設備点検)を行っております。
安全点検(動作確認)の実施内容の一部
○マニピュレータ
左右ともに水平に腕を伸ばした状態で電源をオフにしたところ、マニピュレータ先端部の関節が徐々に曲がることを確認しました。
<今後の対応>
・再度動作確認を行い、再発の有無および原因について調査。
○吸引装置
小ガレキ等を撤去する吸引装置の動作確認に向けた準備作業をしていたところ、同装置のケーブルにて絶縁抵抗値が低下していることを確認しました。
制御盤側から接続されているケーブルと吸引装置を切り離し、それぞれ絶縁測定を実施したところ、制御盤側のケーブルに問題はなく、吸引装置側の絶縁抵抗値が低下していることを確認しました。
<今後の対応>
① 電源ケーブル
・吸引装置を水中から引き揚げて詳細調査中。
②圧力センサケーブル
圧力センサ部分を中心に、詳細調査中。
◇ サブドレン トリチウム濃度上昇抑制に向けた地盤改良の開始
3月〜6月に確認された1・2号機西側周辺サブドレンピット※のトリチウム濃度上昇を抑制するため、運用面の対策として水位差管理を実施しております。設備面の対策として、10月12日より(南側)の地盤改良作業[削孔して水ガラスなどを注入]を開始しました。10月末には(北側)の地盤改良作業も開始し、2019年3月を目途に対策を完了する予定です。
これにより、トリチウムの移流・拡散が抑制され、サブドレンの安定的な稼働が可能となり、建屋への地下水流入量の低減につながるものと考えております。
※《サブドレン》原子炉建屋とタービン建屋廻りにある地下水くみ上げ用の井戸。サブドレンの地下水をくみ上げることにより、各建屋に流入する地下水の低減を図っている。 《ピット》穴、くぼみを意味する用語。ドレンの液体を一時的に貯めておく貯水槽のこと。
◇ 「福島廃炉技術者研修センター」の発足
10月から、「福島廃炉技術者研修センター」が発足し、研修を開始しました。
当センターは、国の福島イノベーション・コースト構想※の一環として、廃炉事業において必要な技術者を養成するための拠点であり、当面、福島原子力企業協議会内に設置し、放射線防護教育を実施していきます。
※福島イノベーション・コースト構想
東日本大震災および原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、当該地域の新たな産業基盤の構築を目指すもの。廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産等の分野におけるプロジェクトの具体化を進めるとともに、産業集積や人材育成、交流人口の拡大等に取り組んでいる。