2018年12月17日
3号機燃料取り出しに向けた準備作業での不具合に対する再発防止策の進捗状況
※1《クレーンの電圧設定ミスによる機器損傷》
5月11日、クレーン試運転において、制御盤内で不具合(異音の発生、すすの付着)が発生し、クレーンが停止。原因調査、対策実施後、7月14日に試運転を再開。
※2《燃料取扱機のケーブルの腐食・断線》
8月8日、燃料取扱機において、原子力規制委員会による使用前検査中に制御系に関する異常を示す警報が発生し、動作不能となった。原因はケーブル接続部に雨水等が浸入し、劣化により断線したことによるものと判明。
何があったのか?
3号機の燃料取り出しについては、2018年11月中の開始を目指し準備作業を進めてまいりましたが、3月の燃料取扱設備の試運転開始以降、クレーンの電圧設定ミスによる機器損傷※1や燃料取扱機のケーブルの腐食・断線※2等、これまでに、いくつかの不具合が発生しました。
今後、どうするのか?
【「安全点検」の実施】
現在、燃料取扱設備の不具合発生リスクを抽出するために、「安全点検」(動作確認および設備点検)を、実施しています。
一連の作業を模擬した「動作確認」は11月21日に完了し、13件の不具合を確認しました。
引き続き、11月20日より開始している「設備点検」の結果も踏まえ、必要な対策を順次行います。
また、燃料取扱機のケーブル接続部の不具合への対応として、ケーブル・コネクタの取替作業を12月中旬ごろより着手する予定です。
【「不具合発生時の復旧手順作成」「環境対策」「品質管理確認」等の実施】
また、経年変化による不具合は安全点検での確認は困難であるため、不具合発生リスクを完全に無くすことはできないという観点も踏まえ、予備品の購入、不具合が発生した場合の手順作成および実試験、燃料取出し環境の改善、点検計画および設備の品質管理確認を行い、燃料取出し開始に向けて万全を期していきます。
安全点検の状況
※《テンシルトラス》
マニピュレータ(人間の腕や手先と同様の運動機能を持つ装置)の位置を動かしてプール内の小がれきを撤去するための装置
安全点検(動作確認)中に発生した不具合
※《テンシルトラス》 マニピュレータの位置を動かしてプール内の小がれきを撤去するための装置
※《マニピュレータ》 人間の腕や手先と同様の運動機能を持つ装置
※《ガスケット》 気密性、液密性を持たせるために用いる固定用シール材
※《カプラ》 クレーン側水圧ホースと駆動源側の水圧ホースを接続するための部品
※《ホイスト》 荷の巻き上げ、巻き下げを行う機械
◇ 2号機オペレーティングフロア残置物移動・片付け作業の完了とその後の調査の開始
何を行ったのか?
2号機の燃料取り出しに向けた作業計画立案のため、オペレーティングフロア※内全域の汚染状況等の調査に先立ち実施していた、残置物の移動・片付け作業が11月6日に完了しました。
その後、11月14日より、調査を開始し、11月20日までに汚染分布・ホットスポットを確認するためのγカメラによる撮影を行いました。
※《オペレーティングフロア》 点検や燃料の交換等を行う原子炉建屋の最上階
今後、どうするのか?
オペレーティングフロア内の床・壁面・天井部について線量測定、汚染状況および設備の状態等についての調査を、3か月程度かけて行います。この調査結果をもとに、周辺環境や作業員に対する安全上のリスクが増加しないよう放射線物質の飛散防止策の徹底、除染方法・遮へい・設置設備等の設計ならびに作業計画の立案を行います。
引き続き、ダスト濃度等を監視しながら、安全第一に作業を進めます。
◇ フランジ型タンク内のストロンチウム処理水の浄化処理完了
何を行ったのか?
フランジ型タンク※内に貯留していたストロンチウム処理水(セシウム吸着装置または第二セシウム吸着装置によりセシウム、ストロンチウムを低減した水)について、多核種除去設備(ALPS)による浄化処理を11月17日に完了し、処理後は溶接型タンクで保管を行っています。
これによりストロンチウム処理水の漏えいリスクを大幅に低減することが出来ました。
※《フランジ型タンク》 鋼材をボルト締めしたタンク
今後、どうするのか?
今後は、2019年3月頃を目途に、フランジ型タンク内に貯留している多核種除去設備(ALPS)で浄化処理を行った処理水を、溶接型タンクへ移送し、漏えいリスクをさらに低減します。