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いちえふのいま

2020年7月22日

福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況

◇ 【2号機】使用済燃料プールからの燃料取り出し作業に向けて
〜使用済燃料プール内の調査を実施〜
これまで

使用済燃料プールから燃料を取り出すためには、プール内の状態を把握する必要があるため、遠隔操作の水中点検ロボットを用いて調査することとし、調査に向けて、5月13日~15日に南相馬市にある福島ロボットテストフィールドを活用して操作員が作業環境を模擬した状況で訓練を行いました。

大型クレーン作業場所の整備完了、吸引装置で屋根上部のガレキを吸引している様子
今回

訓練を終えた操作員により、6月10日、11日に2号機では震災後初めてとなる使用済燃料プール内の調査を実施しました。調査の結果、燃料ラック上に白色の堆積物やシート片等の干渉物が確認されたものの、燃料取り出しの支障となる状況は確認されませんでした。

3号機タービン建屋屋根面対策の全体像 タービン建屋屋根状況

※ 堆積物:震災時にプール内へ海水を注入したことによる腐食生成物、又は、海水由来の成分が析出したものと考えられます。

これから

今回の調査で撮影した映像を詳細に確認し、燃料取扱設備の設計や運用等に反映することで、2024年度から2026年度の燃料取り出しの開始に向けて、着実に取り組んでいきます。

◇ 【共通】汚染水の浄化処理で発生する『廃棄物』の保管について

現在、福島第一原子力発電所で発生する汚染水は、「セシウム」や「ストロンチウム」を除去する装置を通水した後に、浄化処理する設備のひとつである多核種除去設備「ALPS(アルプス)」により「トリチウム」以外の大部分の放射性物質(62種類)を低減し、構内のタンクに一時保管しています。
このALPSの前処理で薬剤投入により発生する「スラリー※」と、放射性物質をこしとった「使用済吸着材」の2種類の『廃棄物』について、その保管状況などをご説明します。
※ スラリー:どろっとした液体と固体の混合物

現状

発生した廃棄物は、「高性能容器(HICヒック)」と呼ばれるポリエチレン製容器をステンレス鋼で補強した保管容器で、構内の一時保管施設にて遮へいして保管しています。

3号機タービン建屋屋根面対策の全体像 タービン建屋屋根状況
解体概要図

現状のHIC保管において想定されるリスクとして、スラリー中で発生する水素がスラリーを膨張させ、押し上げられた上澄み水が溢水したり、放射線によりHICが劣化することが挙げられます。これらのリスクに対しては、HICに注入するスラリーの量を減らすことやHICを水密化したコンクリートボックス内に保管すること、また、放射線がHICに及ぼす影響について評価し、容器の健全性が担保できるよう耐用年数を設定して、適切な管理を行っています。
なお、使用済吸着材はHICに収納後、HIC内の水を吸出してから保管しています。

今後
解体概要図

さらなるリスクの低減と安全性の向上、HIC保管容量の安定的な確保に向けた検討を進めていきます。
具体的には、HICに収納されている液体状のスラリーを抜き出し、脱水処理することで固体状とし(これを「安定化処理」といいます)、HICよりも放射線の影響を受けにくい金属製の容器に入れ、屋内の廃棄物貯蔵庫内で保管する取り組みです。
さらに今後、安定化処理を行うためのスラリー安定化処理設備の技術開発やそれに伴う設計を行い、2022年度に安定化処理を開始する計画です。

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