2021年5月12日
多核種除去設備等処理水の処分に関する政府の基本方針を踏まえた当社の対応について
福島第一原子力発電所の事故により、地域をはじめとした広く社会のみなさまに大変なご負担とご心配をおかけしていることにつきまして、心より深くお詫び申しあげます。
このたび、2021年4月13日に開催された「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第5回)」において、「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下、政府方針)が決定されました。今般の政府方針決定に至ったことにつきまして、当社としてたいへん重く受け止め、この政府方針を踏まえ様々な対応を徹底して取り組んでまいります。
1. ALPS処理水の処分に対する当社の基本姿勢
- 多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出にあたっては、法令に基づく規制基準等の遵守はもとより、関連する国際法等に基づくとともに、人及び環境への放射線影響評価を行い、その水が安全なものであることを確実にし、公衆や周辺環境、農林水産品の安全を確保します。
2. 海洋放出までの流れ
- 福島第一原子力発電所の建屋内に滞留している汚染水には、事故時に燃料が損傷したことにより、一般の原子力発電所の排水には通常含まれない放射性物質が含まれています。そのためALPS等による処理(必要に応じて二次処理)を実施し、トリチウム以外の放射性物質の濃度が安全に関する規制基準を確実に下回るまで浄化処理を行います。
- トリチウムはALPS等では除去できないので、安全に関する規制基準を十分に下回るよう、大量の海水(100倍以上)で希釈し、海洋へ放出します。
- 設備が故障や停電により計画している機能を発揮できない場合や海域モニタリングで異常値が検知された場合は、放出を停止します。
3. 海域モニタリングと第三者による安全性の確認
- ALPS処理水の海洋放出に伴う環境への影響を懸念する声が国内外にあることを踏まえ、海域モニタリングをこれまで以上に拡充・強化するとともに、第三者による測定・評価や公開等により客観性・透明性を確保します。
- ALPS処理水処分の開始前後において、国際原子力機関(IAEA)の専門家のレビューを受け、指導・助言を適切に反映することで、当社の取組をさらに改善・強化していきます。
4. 風評影響への対策
- 風評影響を最大限抑制するべく、ALPS処理水処分にかかるさまざまな情報を透明性高く、継続的に国内外に発信するとともに、風評を受け得るさまざまな産業に関する生産・加工・流通・消費対策に全力で取り組みます。
- これらの対策を最大限に講じた上でもなお、ALPS処理水の放出に伴う風評被害が発生した場合には、迅速かつ適切に賠償を行います。
用語の解説
- トリチウム
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- 水素の仲間で、水道水や食べ物、そして私たちの体の中にも存在します。
- 日本や世界の原子力施設では、核分裂等を通じてトリチウムが生成されており、それぞれの国の基準に基づいて管理されたかたちで海や大気などに排出されています。
- 処理途上水
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- 多核種除去設備等で浄化処理したものの、安全に関する規制基準値を下回っていない水。
- 二次処理
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- トリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備等で浄化すること。
- ALPS処理水
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- トリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備等で浄化処理した水。