2021年7月27日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(6月)
◇ 【3号機】継続的に耐震安全性を確認する点検計画を作成するため原子炉建屋内の状況調査を実施
これまで
1~3号機の原子炉建屋については、解析等により現時点で十分な耐震安全性を有していることを確認しています。また、今後も建屋状態を調査し、継続的に耐震安全性を確認していくこととしています。
今回
燃料デブリ取り出し完了まで長期的な建屋の健全性を確認していくための点検計画を作成するにあたり、5月25日に原子炉建屋2階、3階の調査を実施しました。
〇調査結果
- ・耐震性に影響するような損傷や経年劣化の兆候は確認されませんでした。
- ・概ね計画通りの調査ルートでアクセス可能なことが確認できました。
- ・定点確認していく耐震部材(シェル壁※1・使用済み燃料プール壁・耐震壁※2)の候補箇所を選定することができました。
- ・2階については、3Dスキャン装置を用いた調査により、建屋内の状況を3次元デジタル化することに成功しました。これにより、各所の寸法が把握でき、今後の点検ルート詳細検討や、経年変化の把握に有効であることがわかりました。
- ※1 シェル壁:原子炉格納容器外壁
- ※2 耐震壁:地震力等に耐える機能を持つ鉄筋コンクリートの壁
これから
2021年度秋頃を目途に1、2号機の建屋の状態を調査してまいります。
また、今回得られた結果を基に、ロボット・ドローンによる無人化調査方法についても検討を進めてまいります。
◇ 【2号機】原子炉格納容器上部の空間調査結果について
これまで
事故時の放射性物質の移行挙動、原子炉格納容器上部の空間(以降、原子炉ウェル)、原子炉ウェルを塞ぐ3段の蓋(以降、シールドプラグ)への付着挙動について、知見を得るとともに、将来の廃炉作業における線量低減、除染方法等の検討に活用することを目的に5月20日、24日に原子炉ウェル内を調査しました。
原子炉格納容器内部調査で得られている線量等を踏まえると、5月20日、24日に測定した原子炉ウェル内の数値が低かったため、調査結果の信頼性を確認することを目的に再度、線量測定することとしました。
今回
6月23日に、前回同様、原子炉ウェル内に通じている配管からカメラや水中線量計等を原子炉ウェル内に挿入し内部の状況や線量等の調査を実施しました。
水中線量計で計測した値は前回測定値と同等でした。その他の線量計については、データを評価中です。カメラ映像では、原子炉格納容器上蓋や原子炉格納容器接合部、原子炉ウェル壁面の外観において、塗装の剥離等が確認でき、前回同様、原子炉ウェル壁、シールドプラグ等に著しい損傷や大きな変形は確認されませんでした。
これから
今後は、詳細な映像確認や線量評価およびサンプル等の分析を進め、得られた結果については、今後の廃炉作業ならびに事故調査に活用してまいります。