2021年10月6日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(9月)
今回は、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する検討状況についてお知らせいたします。
◇ 安全確保のための海洋放出設備の検討状況
これまで
2021年4月に、政府の「福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」の決定以降、これを踏まえた当社の対応についてお示しするとともに、風評影響を最大限に抑制するための対応を徹底するべく、安全確保のための設備の設計や運用等について、検討の具体化を進めてまいりました。
今回
2021年8月25日に、設備の具体的な設計および運用等の検討状況、ならびに風評影響および風評被害への対策について取り纏めた内容をお示ししました。本紙では、設備に関する内容についてお知らせいたします。
【多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の流れ(上図「全体図」の赤線)】
※カッコ内の丸数字は上図「全体図」を参照
1. ALPS処理水の「受入」「測定・確認」「放出」の3つの役割をもった測定・確認用設備のサンプルタンク群(①)でトリチウム、62種類の放射性物質(多核種除去設備での除去対象物質)、炭素14の放射能濃度を測定・評価し、トリチウム以外の放射性物質が環境への放出に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化されていることを確認します。また、第三者機関による測定・評価も実施します。もし、浄化が不十分だった場合には、二次処理設備(②)に返送して規制基準値以下になるまで再浄化します。
【ALPS処理水を希釈する海水の流れ(上図「全体図」の青線)】
1. ALPS処理水を希釈する海水を5号取水路(④)から取水し、海水ポンプ(⑤)で移送します。
【海水で希釈したALPS処理水の流れ(表面「全体図」の緑線)】
1. 希釈用の海水にALPS処理水を流しながら混合させます(⑦)。この時、海水希釈後のALPS処理水のトリチウム濃度が1,500ベクレル/㍑未満であることを測定・確認用設備(①)分析結果のトリチウム濃度とALPS処理水の流量(③)・海水流量(⑥)から算出します。また、トリチウム以外の放射性物質の濃度については、規制基準値以下の水を希釈するので、より低い値となります。
2. 海水で希釈されたALPS処理水は、放出管(⑧)を通って、放水立坑(⑨)に溜まります。放水立坑に溜まった水でトリチウム濃度の測定を実施した後、約1kmの海底トンネル(⑩)を経由して海洋に放出します。
◆異常時対応
- ALPS処理水の流量計(③)の故障や海水ポンプ(⑤)の停止等、ALPS処理水の希釈に異常が生じた場合は、緊急遮断弁(③、⑪)を速やかに閉じるとともに、ALPS移送ポンプ(⑫)を停止します。
- 津波による水没等に備え緊急遮断弁(③)を防潮堤(⑬)内側に設置します。
これから
今後も地域のみなさま、関係するみなさまのご意見等を丁寧に伺い、設備の設計や運用等に適宜反映してまいります。