2021年10月13日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(10月)
今回は、「多核種除去設備(ALPS)排気フィルタの損傷状況」と「1号機原子炉格納容器内部調査に向けた干渉物切断作業の完了」についてお伝えいたします。
◇ 【共通】多核種除去設備(ALPS)排気フィルタの損傷状況
これまで
「ALPS」の前処理工程で発生するスラリー(沈殿物)と処理工程で発生する使用済吸着材は、高性能容器(以下、「HIC」)に収納し、使用済セシウム吸着塔一時保管施設に保管しています。
スラリーによる放射線の影響を受けたHICからの漏えいリスクの低減のため、スラリーを新しいHICに移し替えを行っています。HICのスラリーの移し替えにあたっては、漏えいリスク及び作業性を考慮し、増設ALPSの建屋内で行うこととしました。
今回
2021年8月24日、HIC内のスラリーの移替え作業時に、HIC排気フィルタ出口のダスト濃度が上昇したため作業を中断しました。
排気フィルタ出口のダスト濃度上昇を踏まえて、現場調査した結果、8月30日に排気ライン出口の排気フィルタを点検したところ、当該フィルタに損傷を確認しました。
今回の損傷を受け、ALPSに繋がるHICの排気フィルタを点検し、同様の損傷を確認したところ、2年前の排気フィルタ交換時にも同様の損傷を確認していたことが判明しました。また、多核種除去設備内にある排気フィルタも点検し、全76箇所中32箇所で損傷を確認しました。
排気フィルタは前処理設備などの浄化機能と異なる附帯設備であり、ALPSの浄化性能に影響を与えることはなく、水処理への影響はありません。また、これまでに、作業員の身体汚染や内部取り込みの発生は無く、外部への影響もないと評価しております。
これから
引き続き、その他設備の排気フィルタの点検を実施し、損傷等の原因を調査し、設備面、運用面、保守面での対策を実施してまいります。
また、フィルタ損傷を2年前の点検で把握していたが、不適合として管理せず、原因の究明、運用・保守の見直し、是正措置が行われなかったことを踏まえ、不適合の運用に関する明確化を図ってまいります。
◇ 【1号機】原子炉格納容器内部調査に向けた干渉物切断作業の完了
これまで
1号機原子炉格納容器内部調査は、1号機原子炉建屋1階の所員用エアロックから調査装置を原子炉格納容器内に投入する計画です。
調査装置投入に向け、 所員用エアロックの外扉と内扉の切削および原子炉格納容器内干渉物の切断等が必要で、アクセスルート構築のため、AWJ(孔あけ加工機)による干渉物切断作業をすすめてきました。
今回
2021年9月17日、電線管(4箇所)の切断完了に伴い、アクセスルート構築に関わる干渉物の切断が全て終了しました。
これから
今後、ガイドパイプ挿入作業を実施します。
引き続き、2021年度内の原子炉格納容器内部調査開始に向けて、準備作業を進めてまいります。