2022年1月17日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(1月)
今回は、「陸側遮水壁測温管の一部温度上昇に伴う試験的な止水の実施」についてお伝えいたします。
◇ 陸側遮水壁測温管の一部温度上昇に伴う試験的な止水の実施
汚染水対策について
山側から海側に流れている地下水や損傷した建屋から入る雨水などが、原子炉建屋等に流れ込み、建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることで汚染水は増加します。汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」の3つの基本方針に沿って、地下水を安定的に制御するための、重層的な汚染水対策を進めています。
放汚染源に水を「近づけない」対策について
- 3つの基本方針のうち、『汚染源に水を「近づけない」』ための対策を実施しています。
- ・地下水バイパス揚水井からの地下水くみ上げ
- ・建屋近傍の井戸(サブドレン)からの地下水くみ上げ
- ・凍土方式の陸側遮水壁の設置
- ・雨水の土壌浸透を抑える敷地舗装(フェーシング)
- 現在、雨水・地下水起因の汚染水の発生量が約470m³/日(2014年度平均)から約140m³/日(2020年)まで減少しています。
陸側遮水壁の設置について
- 凍土方式の陸側遮水壁は、山側からの地下水を原子炉建屋内に流入させないよう、1号機から4号機の原子炉建屋やタービン建屋等を囲うように、地中に凍土による遮水壁を設置しました。
- 陸側遮水壁は、凍結プラントにて冷媒(ブライン)を製造し、凍結管へ冷媒を流すことで、地中の土を凍らせ、地下水が入り込まないようにするものです。
- なお、「遮水壁構造が維持されていること」を確認するため、地表・地中温度の他に、遮水壁内側の地下水位と遮水壁外側の地下水位の水位差が確保されていることを監視しています。
陸側遮水壁測温管の一部温度上昇について
- 陸側遮水壁は、測温管による地表・地中温度を参考に、凍土の維持管理をしています。
- 昨年10月13日に陸側遮水壁とK排水路が交差する付近(下流部)の測温管150-7S(1箇所)にて、地中に3m(地表下1.0m~4.0m付近)の区間で局所的に0℃を超過している状態が継続していることを確認しました(地表部は約0℃であることを確認)。
原因の調査と試験的な止水の実施
- 当初、K排水路内の水が流出したことによる影響と推定しましたが、逆にK排水路内での湧水を確認したことから、K排水路へ流入する地下水が凍結箇所の一部を融解し、測温管150-7Sの温度が上昇している可能性を推定しています。
- そのため、試験的に測温管150-7Sの外側を試験的に止水し地下水の流入を抑制し、測温管150-7Sの温度変化やK排水路の湧水量の変化を確認することとしました。
- 試験的な止水として、軽油タンク基礎から測温管150-7Sの西側(陸側遮水壁推定融解範囲)に、昨年12月6日より12月13日にかけて鋼管を設置しました。
- 鋼管を設置後、温度やK排水路の湧水量に明瞭な変化が見られなかったため、追加の止水として、昨年12月18日より鋼矢板を設置しています。
現在の遮水状況
- 測温管の温度は低下の傾向が確認されていますが、試験的な止水の影響か慎重に評価しています。
- 遮水壁内側と遮水壁外側の水位差は確保されており、建屋内への水の流入は抑制されています
これから
ひきつづき原因調査を実施し、結果をタイムリーにご説明いたします。また、今後も汚染水対策の取り組みについて、この紙面を用いて説明してまいります。