2022年6月15日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(6月)
今回は、「1号機原子炉格納容器内部調査の状況」と「福島第一原子力発電所内での海洋生物の飼育試験」についてお知らせいたします。
◇ 1号機原子炉格納容器内部調査を再開
1号機の原子炉格納容器内に過去の調査において確認された堆積物について、今後回収する手段、必要な設備や手順を検討するために、6種類の水中ロボット(ROV※1)を投入し、堆積物の状況や性状等の情報収集を目指します。
- ※1 遠隔操作無人探査機
これまで
- ROVのケーブルが、調査中に原子炉格納容器内部の機器や配管等に絡まり、動かなくなることを防ぐため、2月8日よりROV-A(下図)を投入し、原子炉格納容器内部の壁面4箇所に「ガイドリング」を設置しました。
- 3月14日よりROV-A2(下図)によるペデスタル(※2)外周の詳細目視調査を開始しましたが、3月16日に発生した福島県沖地震の影響と考えられる原子炉格納容器内の水位低下やROV-A2のカメラの映像不良を確認したことから、調査を一時中断し、原因調査や対策を検討しました。
- ※2 原子炉圧力容器下部にある作業用の空間・土台
- 資料提供︓国際廃炉研究開発機構(IRID)
今回
- ROV-A2の水中調査に必要な原子炉格納容器内の水位を確保し、ROV-A2予備機に交換し、5月17日に調査を再開し、5月23日まで実施しました。(裏面参照)
- 原子炉格納容器内には塊状の堆積物や棚状の堆積物を広い範囲で確認しました。
- ペデスタル開口部では、建設当時の写真と比較したところ、コンクリートで覆われていたペデスタルの鉄筋が露出していることがわかりました。
- また、中性子束(※3)の測定において、熱中性子束(※4)を多く確認したことから燃料デブリ由来の堆積物が含まれると推定しています。
- ※3 運動エネルギーの低い中性子(熱中性子)と、運動エネルギーの高い中性子(高速中性子)を合わせた中性子
- ※4 運動エネルギーの低い中性子
これから
- ROV-Cを投入し、堆積物の厚さを測定する準備を進めています。
- 原子炉格納容器の耐震性については、2016年度に国際廃炉研究開発機構(IRID)の評価において、ペデスタルが一部欠損していたとしても、耐震性を大きく損なわないことを確認していますが、今回確認された状況を踏まえ、今後さらに詳細なデータを取得し、改めて評価します。
◇ 海洋生物の飼育試験(練習)を開始
- ALPS処理水の取扱いに関しては、関係者の皆さまへご説明する中で、「ALPS処理水で魚を育てるなど、わかりやすい形で安全を示してくれると理解しやすい」などのご意見をいただきました。
- そこで、2022年9月頃から「海水」と「海水で希釈したALPS処理水」で魚を飼育し、比較する「飼育試験」を行い、その状況をわかりやすく、お示ししたいと考えています。
- 飼育試験に先立ち、飼育ノウハウの習得や、設備設計の確認等を目的に、3月17日より発電所周辺の通常の海水でヒラメの飼育を開始しました。
- 飼育状況については、「海洋生物飼育日誌」により、日々お知らせしています。