2023年6月7日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況
2022年度汚染水発生量と今後の建屋への地下水流入抑制対策について
これまで
汚染水対策は、①汚染源を「取り除く」②汚染源に水を「近づけない」③汚染水を「漏らさない」の基本方針に基づき、予防的・重層的対策を進めています。
②汚染源に水を「近づけない」ための対策として、建屋屋根補修及び建屋周辺のフェーシング(※1)などを進め、雨水・地下水起因の汚染水の発生量が1日あたり約470㎥(2014年度平均)から約130㎥(2021年度)に減少しました。
- ※1 地表面をアスファルト等で覆い、雨水が地中に浸透して建屋内に流入するのを防ぐ
今回
引き続き、建屋屋根補修及び1~4号機建屋周辺のフェーシングなどの対策が進んだこと、また、2022年の降水量が1,192㎜と平年の降水量約1,470㎜より少ないこと、1日あたり100㎜以上の集中豪雨が確認されなかったことなどから、2022年度の汚染水発生量は1日あたり約90㎥(※2)となり、降雨時の建屋流入量を減少させることができたと評価しています。
- ※2 平年の降水量で評価した場合は1日あたり約110㎥となる
これから
2号機側から3号機側を臨む
(陸側遮水壁側から施工中)
- 2号機原子炉建屋南側の一部ならびに3号機西側のフェーシングを進めます。また、各建屋間の隙間(建屋間ギャップ)から地下水が浸入している可能性が考えられることから、止水対策を検討してまいります。
- 2023年度以降の汚染水発生量については、降水量の変動を考慮し1日あたり「120±20㎥」とすると、2024年2月頃~6月頃にタンクの貯留計画容量(約137.3万㎥)に到達する見通しとなっています。
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)希釈放出設備の進捗について
ALPS処理水希釈放出設備については、2022年8月2日に福島県、大熊町、双葉町に工事の事前了解をいただき、8月4日から「測定・確認用設備」「移送設備」「希釈設備」「放水設備」工事を行っています。
- 「測定・確認用設備」は2023年3月15日に原子力規制委員会から使用前検査終了証を受領したことから、3月17日より「循環・攪拌(かくはん)運転」を開始しています。
- 「放水設備」は、4月26日に海底の放水トンネルの掘進工事が完了しました。引き続き、掘進工事に使用した掘削機(シールドマシン)の撤去作業等を行っています。
- 当社ホームページにて、ALPS処理水希釈放出設備における「測定・確認用設備」の工程について動画で解説しています。
- 当社は、2023年春頃のALPS処理水希釈放出設備の設置工事完了を目指し、安全最優先で工事を進めてまいります。
今後も各設備の概要などを動画で解説する予定です。
「ALPS処理水に関する取り組み」を多くの皆さまへお伝えしています
海外の皆さまへALPS処理水に関する取り組みをお伝えするために、関西空港のディスプレイに掲示しています。期間:5月1日~31日
また、成田空港、品川駅、東京駅においてもディスプレイ掲示を行いました。引き続き、当社広報紙やホームページ、視察・座談会など様々な機会を通し、ALPS処理水に関する取り組みや廃炉の進捗についてわかりやすくお知らせしてまいります。
海域モニタリングの状況について(4月27日現在)
福島第一原子力発電所から、サブドレン・地下水ドレンの処理済水、地下水バイパス水、構内排水路の水を排水しています。セシウム137濃度やトリチウム濃度は、これまでと同様に日本全国の海水における測定値の変動範囲内で推移しています。