2023年12月15日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況
「ゼオライト土嚢等の回収」の背景について
1~3号機の原子炉建屋では、「燃料デブリの冷却水」に加え、「地下水」や「破損した建屋から入る雨水」などが流れ込み、放射性物質を含んだ「汚染水」が発生しています。2011年当時は「汚染水」の発生量が多く「1~4号機の建屋内に滞留する水(汚染水)」が溢れ出るリスクがありました。そこで、建屋内の滞留水をポンプで汲み上げ、「プロセス主建屋」と「高温焼却炉建屋」の地下階に移送することにしました。
移送を開始する際(2011年)に、滞留水の放射性物質を低減する目的で、「セシウム(放射性物質)等を吸着する性質があるゼオライトを袋に詰めた土嚢」等を、移送先の「プロセス主建屋」と「高温焼却炉建屋」の地下階に設置しました。
現在は、その「ゼオライト土嚢」等が高線量化しています。今後は、「 プロセス主建屋」と「高温焼却炉建屋」に貯留している滞留水が環境へ漏出するリスクを低減するために、滞留水の処理を行い、2つの建屋の床面を露出させる計画です。その作業を進めるために、まずは、「ゼオライト土嚢」等の回収の準備を進めています。
ゼオライト土嚢等の回収作業について
「高線量化したゼオライト土嚢」等は、放射線の遮へい効果が期待できる水中での回収を軸に検討を進めています。土嚢袋は劣化傾向が確認されているため、袋のまま移動できないことから、回収は中身のゼオライト等を滞留水とともにポンプで移送する方式を基本とし、遠隔装置を用いて「集積作業」と「容器封入作業」の2ステップで実施する計画です。
現在は、改良を加えながら集積作業用の遠隔装置の開発を進め、試作機で検証を行っています。現場適用に向けた最終調整の段階であり、2023年度末から福島第一原子力発電所での集積作業の着手を予定しています。
保管容器に封入後は、脱塩・脱水を行ったうえで、構内の高台(海抜33.5mエリア)の一時保管施設まで運搬する計画です。
ALPS処理水の海洋放出について
11月2日から開始した第3回の海洋放出は、11月20日に完了しました。初回放出開始以降、海水中のトリチウムについて、東京電力が毎日実施する迅速な分析の結果等から「放出が計画どおりに基準を満たして安全に行われていること」を確認しています。2023年度は計4回の海洋放出を計画しています。