2024年2月20日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況
2号機 燃料デブリ試験的取り出し作業の準備状況
廃炉は、地域の皆さまや環境への放射性物質によるリスクを低減するための作業です。その作業の一つとして原子炉内の溶融した燃料デブリを取り出す作業があります。燃料デブリの取り出しは、以下のステップで進める計画です。
現在、2号機の燃料デブリ試験的取り出しに向けて、準備を進めています。
廃炉を進める上で、燃料デブリの性状を把握することが重要であることから、試験的取り出しを早期に確実に実施したいと考えています。
堆積物除去作業の進捗状況
試験的取り出しでは、原子炉格納容器内部に通じる、X-6ペネトレーション※1(以下、X-6ペネ)から専用の取り出し装置を進入させる計画です。そのため、X-6ペネ内に存在している堆積物やケーブル等を除去する作業を実施しています。
堆積物除去装置(低圧水)のドーザツール(棒状の装置) で堆積物の突き崩しを行い、低圧水の噴射による除去を実施しました。事前に実物大の模型を用いて実施した模擬試験(以下、モックアップ試験)と比較し、堆積物の除去に時間を要しましたが、徐々に堆積物が除去できておりケーブル類を確認しました。
今後、堆積物除去装置(高圧水・AWJ※3)によるケーブル等の除去を実施していきます。
- ※1 原子炉の出力をコントロールするための「制御棒」を動かす装置の交換等に使用されていました。
- ※2 除却作業時に常時水をスプレイ噴射し、原子炉格納容器内のダスト飛散を抑制します。
- ※3 AWJ(アブレイシブウォータージェット)とは、高圧水に研磨材を混合し噴射することでケーブル類を切断する機械です。
環境への影響について
作業にあたっては、原子炉格納容器内の気体が外部に漏れて、周辺環境へ影響を与えないように事前に「隔離部屋」を設置しました。除去作業前後で、敷地境界含む構内のモニタリングポスト/ダストモニタのデータに有意な変動はなく、周辺環境への放射線影響は発生していません。
今後の内部調査・試験的取り出しの進め方について
堆積物除却装置(高圧水・AWJ)による除去作業の不確実性に加え、アーム型取り出し装置での試験的取り出しについては、万全を尽くすために以下の必要性が確認されました。
■ モックアップ試験の状況から燃料デブリまでのアクセスルート構築に時間を要する
■ 事故炉の格納容器内で初めて使用するため、確実に燃料デブリを採取できるよう信頼性を確認するための試験の継続
今後の試験的取り出し
燃料デブリの性状を把握するために、早期に確実に燃料デブリの採取を行う必要があります。試験的取り出しに用いる最初の装置は、堆積物等が完全に除去しきれていなくても投入可能であり、過去の内部調査で使用実績がある「テレスコピック※式試験的取り出し装置」(以下、テレスコ式試験的取り出し装置)を使用します。
その後、「アーム型取り出し装置」による内部調査および燃料デブリの採取も継続する方針です。
なお、テレスコ式試験的取り出し装置による着手時期としては、遅くとも2024年10月頃を見込んでいます。
今後も堆積物除去作業、試験的取り出し作業について、安全確保を最優先に着実に作業を進めていきます。
【訂正】前号において世界保険機関(WHO)と記載しておりましたが、正しくは世界保健機関(WHO)となります。訂正してお詫び申し上げます。