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いちえふのいま

2024年6月17日

福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況

◇ 「高温焼却炉建屋からの放射性物質を含む水の漏えい」とその対策について

福島第一原子力発電所で発生しているトラブルにより、地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまにご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。

今回は、法令に定められた報告対象であるとともに、原子力規制委員会の「2023年度第4四半期実施計画検査」にて「軽微な違反(監視)」との判定を受けました、「高温焼却炉建屋からの放射性物質を含む水の漏えい」(2024年2月発生)について、本事案の発生概要、主な問題点とその対策についてお知らせします。

本事案の発生概要
  • ・高温焼却炉建屋の中にある停止中の「第二セシウム吸着装置(略称サリー) 」において、「ろ過水※1」を通水して線量を低減する作業を行っていた際に、本来「閉めておくべき弁」を「開」の状態で作業を行ったことにより「ベント口※2」を通じて、建屋外に「放射性物質を含む水」が漏えいしました。
  • ・当該作業の作業員および高温焼却炉建屋付近にいた作業員に身体汚染はありませんでした。また、敷地内の「モニタリングポスト」や「排水路モニタ」等に有意な変動はなく、環境への影響は確認されておりません。
  • ・漏えいした水の量は約1.5㎥で、ベント口の下に敷いてあった鉄板上の水溜りは即日回収しました。
    なお、翌日から地中に染み込んだ可能性のある土壌を掘削のうえ除去し、土壌の回収を2月18日に完了しました。
  • ※1 放射性物質であるセシウムを坂下ダム(福島県双葉郡大熊町)からの淡水をろ過した、発電所構内で使用している工業用水です。
  • ※2 運転停止中に発生した水素がサリー内に滞留することを防ぐために、水素をサリー外に排出させる通気孔です。
本事案の主な問題点とその対策
高温焼却炉建屋からの漏えいの概略図
主な問題点
  • ・水処理作業において、設備を運転する部門と保全する部門とで役割が明確でない点がありました。
  • ・作業員は、過去の作業実績からの「思い込み」により「弁の開閉状態」の確認に関して見落としがありました。
  • ・サリー内で発生する水素の滞留を防止するため、水素をベント口から建屋外に直接開放する構造となっていました。
その対策
  • ・高い濃度の液体放射性物質を取り扱う作業では、当社運転部門が作業前に作業範囲を系統から区画する境界弁を閉める等の安全処置を一元的に実施します。
    また、水処理に関する設計と保全を一元管理する「水処理センター」を設置します。
  • ・設備操作や状態確認の重要性と、操作・確認を行う際の基本動作の徹底を、現場作業員全員に浸透させていきます。
  • ・現状の「ベント口」を「建屋内」に安全に排出する構造に設備を改善します。建屋内に排出する改善にあたっては、建屋内に水素を滞留させない対策も実施いたします。
◇ 作業点検の実施について

福島第一原子力発電所では、昨年10月に身体汚染の事案が発生した以降、人や環境に影響を及ぼしかねない事案が計4件連続して発生しました。

当社は、それぞれの事案の再発防止に加え、発電所で行われる作業の安全性を、当社と協力企業が一体となって高めていくことが必要と考え、発電所の全作業に対して、作業現場の状態を確認した上でリスク要因を抽出し、防護措置の妥当性等を点検する「作業点検」を実施しました。

  • ※「増設多核種除去設備(ALPS)配管洗浄作業における身体汚染(2023年10月)」、「高温焼却炉建屋からの放射性物質を含む水の漏えい(2024年2月)」「増設雑固体廃棄物焼却建屋 廃棄物貯留ピット(木材チップからの)水蒸気等の発生による火災警報発生(2024年2月)」「所内電源A系停止に伴う一部施設停電と負傷者の発生について(2024年4月)」、の計4件となります。
作業点検により防護措置を改善した事例の紹介 ~新設設備での電気受電作業における受電操作の改善~

今回強化して実施した作業点検は、今後の新規作業や変化のある作業に対しても、すべからく点検を実施します。
また、廃炉作業の環境は日々変化するため、現在進行中の作業においてもリスクの抽出を行い、安全レベルのさらなる底上げに努めてまいります。

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