2024年10月23日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況
◇ 2号機 使用済燃料取り出しに向けた工事の進捗について
2号機の使用済燃料プールには、発電に使用された使用済燃料(以下、燃料)が保管されています。この燃料をより安全に管理するため、原子炉建屋から燃料を取り出し、共用プールに運搬・保管していきます。
2号機 使用済燃料の取り出し計画
燃料の取り出しは、放射性物質の飛散を抑制する観点から原子炉建屋上部の全面解体は行わずに、原子炉建屋南側の壁面に開口部を設け、「燃料を取り出しするための構台(以下、構台)」や「プールから燃料を取り出す設備(以下、燃料取扱設備)」等の設置を行ってから開始する計画です。2024年6月には構台の鉄骨組み立てが完了しました。
現在、構台の付帯設備である「ランウェイガーダ」の発電所構内への設置※に向けて準備を進めています。
- ※ 構台やランウェイガーダの鉄骨地組みは発電所構外の作業エリアで実施し、発電所構内の2号機原子炉建屋南側まで陸送し設置します。
発電所構外の作業エリアは、防護装備が不要のため、作業員の皆さまの被ばくや身体的負担を低減しています。
ランウェイガーダとは
燃料取り出しにあたっては、燃料取扱設備を原子炉建屋内の使用済燃料プール近傍と構台上部の前室とを移動させる必要があります。ランウェイガーダは燃料取扱設備を移動させるための移動用レールの基礎です。
ランウェイガーダは制震装置を有し、燃料取扱設備の揺れを低減する設計となっています。大きな地震が発生しても燃料取扱設備が脱落することはありません。
ランウェイガーダの送り出しモックアップ状況
ランウェイガーダの設置にあたっては、全長約45mのランウェイガーダを8ブロックに分割して、構台の前室天井部を開閉させて搬入します。前室内で組み立てた後、牽引設備により原子炉建屋内に順次送り出す手順となります。
構台での施工性や詳細手順の確認、作業の安全性を検証するために、2024年7月31日から発電所構外でランウェイガーダの送り出しモックアップ(試験)を実施し、問題なく送り出せることを確認しました。
今後、モックアップで得た知見は、実際の現場施工時に反映し安全に作業を進めていきます。
2024~2026年度の燃料取り出し開始に向けて、現時点で計画通りに進捗しています。今後も、周辺環境への影響を与えないよう、安全最優先で対応していきます。
◇ ALPS処理水の海洋放出について
2024年度は計4回のALPS処理水海洋放出が完了しました。いずれも放出の基準を満たし、計画どおり安全に放出が行われたことを確認しています。第5回の海洋放出は、2024年9月26日から開始しています。
海洋放出開始後、これまでに海域モニタリングで確認されたトリチウム濃度は、日本全国の海水モニタリングにおいて過去に観測された範囲と変わらないレベルです。
今後、放出する処理水のトリチウム濃度に応じて海水濃度も影響を受け、過去に観測された範囲を超える場合も考えられます。その場合でも、放射線影響評価における放出時の海洋拡散シミュレーションの結果などから想定の範囲内になると考えられ、調査レベル※(発電所から3km以内で350ベクレル/㍑)を下回るものと考えています。
- ※ 調査レベルとは、放出停止判断レベル(発電所から3km以内で700ベクレル/㍑)に達する前の段階において、必要な対応を取る値として定めている指標です。発電所から3km以内で350ベクレル/㍑を超える値が検出された場合、速やかに設備等の確認および海水のモニタリングを実施します。