2024年11月20日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況(10月)
◇ 横置きタンクの除染・解体について
仮置きの状況(4か所の一つG1エリア)
横置きタンク(通称:ブルータンク)は、震災直後に建屋滞留水を処理した水の貯蔵に使用していましたが、貯蔵できる容量が少ないため、容量が大きいタンクに水の入れ替えを行った後、水抜きを行い、計367基を4か所に分けて敷地内に仮置きしています。仮置きしている横置きタンクについては、解体を計画しており、今回は、横置きタンクの除染・解体方法についてお知らせします。
タンクの除染・解体方法について
除染方法
横置きタンクの内面は放射性物質で汚染されており、解体にあたっては除染が必要となります。タンク内面は、腐食等を抑制させる「FRP樹脂※(厚み3~9mm)」が貼り付けられており、そのFRP樹脂が汚染していることから、FRP樹脂を剥離することで除染を行います。
- ※ 繊維強化プラスチック。繊維と樹脂からなる複合素材で、軽量で耐久性に優れています。
除染・解体のフロー
- 除染・解体は、既存の倉庫内に設置した専用の設備で、下図のとおり実施します。
- 搬入された横置きタンクは付属品を撤去した後に、輪切りに切断します。輪切りにしたタンク片の内面に貼り付けられているFRP樹脂にレーザーで切り込み・照射を行います。その後、急速に冷凍を行い、外側から力を加え鋼材をたわませることで、FRP樹脂を剥離させます。
タンクの除染・解体に向けた準備状況について
既存の倉庫内に、横置きタンク専用の除染・解体設備の設置作業が、2024年10月31日に完了しました。
内部が汚染していない未使用タンク(計28基)を用いて、除染・解体試験を11月6日から開始しています。
除染・解体試験において、全ての作業工程の手順や作業の安全性、および局所排気装置やダストモニタによる汚染拡大防止対策等の確認を行います。除染・解体試験で得た知見を手順等に反映した上で、使用済みタンク(計339基)の除染・解体作業を12月頃から開始する予定です。
◇ 2号機 燃料デブリ試験的取り出し作業の完了について
燃料デブリを運搬ボックスに回収する様子
9月17日にカメラ映像が遠隔操作室内のモニターに適切に送られてこないことが確認されました。カメラ状態の回復を試みましたが状態に変化がなかったため、カメラケーブル導通試験およびカメラ交換を実施し、カメラの映像が適切に遠隔操作室内のモニターに送られていることを確認しました。
カメラ交換作業および作業再開に向けて当社社員と協力企業作業員を含めた事前検討や手順などの最終確認を行い、問題が無いことを確認できたことから、10月28日に試験的取り出し作業を再開し、10月30日に燃料デブリを把持しました。
翌日から、把持した燃料デブリをエンクロージャ※1内に引き戻し、燃料デブリが回収可能な線量であることを確認できたため、把持した燃料デブリを運搬ボックスに回収しました。11月7日には、エンクロージャ内から取り出した運搬ボックスをDPTEコンテナ※2に収納し、試験的取り出しが完了しました。
取り出した燃料デブリは、専用機器内で各種測定を行った後、構外輸送容器に収納し茨城県の分析施設に輸送します。
- ※1 テレスコ式アーム等を内蔵する筐体(箱)。放射性物質の放散に対する障壁を形成する境界となります。
- ※2 DPTEは、Double Porte pour Transfert Etanche(仏語)の略。汚染拡大防止のため、蓋と専用ポートの開閉が一体で実施できる容器です。