1 FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした

新着情報

いちえふのいま

2024年12月17日

福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況

◇ 2号機 使用済燃料プールのスキマサージタンク水位低下について

2024年8月9日、2号機使用済燃料プール(以下、プール)が満水であることを確認するスキマサージタンク(以下、タンク)の水位が低下し、タンクの水が原子炉建屋3階で漏えいしていることを確認しました。なお、漏えいした水は地下1階に滞留水として留まっており、建屋外に流出していないことを確認しています。

また、漏えい箇所の調査のためプールの冷却ポンプを計画的に停止しました。漏えい箇所の調査と修復が完了するまでの間は冷却が停止した状態となり、地域の皆さまには大変ご心配をおかけしました。冷却停止中はプールの水温と水位が運転上の制限を逸脱しないよう監視を行い、冷却運転の早期再開に向けて取り組んできました。

2号機使用済燃料プール スキマサージタンク水位低下概略図

ろ過水を流して調査した結果、
FPC熱交換室内の配管から水の漏えいを確認

  1. 原子炉が停止した後に、炉心より発生する熱を除去・冷却するための系統。FPC設備が点検等で使用できない場合に、FPC設備から切替を行い使用していました。
  2. 使用済燃料プール冷却浄化系。2号機の使用済燃料プール冷却浄化系は、事故後設備不具合により冷却と浄化機能が喪失したため、新たな循環冷却システムを廃棄物地下貯蔵建屋に設置し、現在はプール水を循環冷却設備へ流す配管としてのみ使用しています。
  3. ろ過脱塩器とはフィルタ等により脱塩する装置。当配管はろ過脱塩器を迂回する配管でろ過脱塩器点検時等に使用していました。
使用済燃料プール冷却停止期間中のプール水温

使用済燃料は時間の経過とともに発している熱が低下しており、1・2・5・6号機※4の使用済燃料プールの冷却を停止してもプールの水温が運転上の制限である65℃(1号機は60℃)に達することは無いと評価しています。

  1. 3・4号機については使用済燃料の取り出しが完了しています。
  2. 冷却ポンプ停止により既設の水温計で測定ができないことから、代替の水温計をプールに設置し、運用を開始した8月20日からの値となります。

2号機プール水温の実測値(8/20※5~11/24)

◇ 2号機 使用済燃料プールの冷却再開について

漏えい箇所が特定できたため、10月22日から漏えい箇所の修復工事を開始、11月14日に工事が完了しました。

その後、スキマサージタンクに水を流し配管から水の漏えいが無いこと、試験運転において冷却系統の設備に問題が無いことを確認しました。

また、並行して進めていた原因および類似箇所の調査が完了したことから、11月25日に冷却を再開しました。

漏えい箇所の修復と代替冷却ラインの構築

漏えい箇所の修復と、FPCポンプとFPC熱交換器に不具合が発生した場合に備え代替冷却ラインの構築も行いました。

  • スキマサージタンク直下の1の分岐配管、および漏えい箇所を含む2の分岐配管を切断し、二つの切断箇所13をつなぐ配管を設けることで代替冷却ラインを構築しました。
  • 配管12の切断面24には閉止キャップを取り付けました。
  • 作業員の被ばく低減および作業負担低減の観点から、FPC熱交換器室内のみの工事とし作業期間の短縮を図りました。
修復工事の概要
  • 管の端部にネジ切り加工がされていない配管を、簡単・確実にジョイントできる配管用の継手です。
新たな冷却方法の検討

今回の代替冷却ラインでは、漏えいリスク低減の範囲が限定されています。冷却の安全性・信頼性を向上させるため、新たな冷却方法の構築を検討していきます。

  • オペレーティングフロア(オペフロ)と原子炉建屋西側に設置している構台に循環冷却設備を設置し、使用済燃料プールから直接取水して冷却を行います。

冷却方法のイメージ※2

漏えいした配管の調査結果からの推定原因

漏えい箇所は、炭素鋼とステンレス鋼の異なる材質の溶接部近傍にあったことから、事故後の海水等注入による不純物を含む循環冷却水が当該配管に滞留し、異なる材質の溶接近傍の炭素鋼側で「異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)」が起きたと推定しています。なお、調査過程で同様の腐食が3か所で確認されましたが、冷却再開までに修復を完了しています。

今後、同じく使用済燃料を保管している1号機についても異なる材質の溶接部について調査を行っていきます。

このページの先頭へ↑