2025年4月15日
福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況
◇ ゼオライト土嚢等の回収作業について
1~3号機の原子炉建屋で発生した放射性物質を含む滞留水(汚染水)を受け入れている、プロセス主建屋および高温焼却炉建屋の地下階には、放射性物質を吸着し高線量化しているゼオライト土嚢等があります。
(2023年11月号にて「ゼオライト土嚢等の回収」についてお知らせしています)
ゼオライト土嚢等を設置した経緯
2011年当時は汚染水の発生量が多く1~4号機の建屋内に滞留する水(汚染水)が溢れ出るリスクがありました。
そこで、建屋内の滞留水を汲み上げプロセス主建屋および高温焼却炉建屋の地下階に、移送することにしました。

- 事故以前は、ともに放射性廃棄物の処理に関連する施設でした。
プロセス主建屋と高温焼却炉建屋では滞留水を受け入れるにあたり、滞留水の放射性物質を低減させる目的でセシウム(放射性物質)等を吸着する性質があるゼオライト※2や、活性炭を袋に詰めた土嚢を地下階に設置しました。
現在は、そのゼオライト土嚢等※3が高線量化しています。

- 0.5~3mm程度の小石状のもので、微小な空間が連続している構造となっており物質を吸着する特性があります。
- ゼオライト土嚢と活性炭土嚢。
- ROV(Remotely Operated Vehicle):水中を遠隔操作で操縦する無人潜水機。
ゼオライト土嚢等の回収について
今後、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋からの滞留水漏えいのリスクを低減するため、2つの建屋の滞留水を処理し、床面を露出させる計画です。その作業を進めるために、先行してゼオライト土嚢等の回収を行います。
- 高線量であるゼオライト土嚢等の回収は、放射線の遮へい効果が期待できる水中での回収を軸に検討を進めました。
- 土嚢袋は劣化傾向が確認されており、袋のままでは移動できないことから中身のゼオライト等を滞留水とともにポンプで移送する方式を基本とし遠隔装置を用いて「集積作業」と「容器封入作業」の2ステップで実施します。

破損している土嚢(2019年調査時)
◇ 高温焼却炉建屋でのゼオライト土嚢等の集積作業の開始について
ゼオライト土嚢等の集積作業を行う現場は、高線量に加え、狭く、暗く、障害物が多い環境下であることから、実規模での模擬環境において集積作業用遠隔装置を操作する訓練を入念に実施してきました。
訓練において、遠隔操作等の主要な一連作業や、高線量環境となる現場での準備作業について、大きな問題が無いことを確認できたことから、高温焼却炉建屋地下階のゼオライト土嚢等の集積作業を3月26日に開始しました。
現時点で特に大きな問題は確認されていません。

集積作業の状況について
- まずは試験的に、集積作業用遠隔装置にて投入口近くのゼオライト土嚢列を対象に集積作業を実施しており、計画通りに進んでいます。
- 今後、集積作業による水の濁りが落ち着いた後に、作業後の現場確認や得られた現場知見のフィードバック等を行い、連続的な集積作業へ移行していく計画です。
- 作業期間は1年程度で、2025年度に容器封入作業の着手まで作業を実施する予定です。



現場は、線量が高い厳しい環境下であることから、十分な安全対策と被ばく抑制対策を講じ、安全最優先で取り組んでいきます。