1 FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした

1Fを守る仲間たち

2015年11月9日

INTERVIEW01「廃炉(はいろ)をやり遂(と)げよう」とするみなさんの心意気(こころいき)を感(かん)じます

淺村あさむら 忠文ただふみさん
鹿島建設株式会社かじまけんせつかぶしきがいしゃ 東京土木支店とうきょうどぼくしてん
福島第一凍土遮水壁工事事務所ふくしまだいいちとうどしゃすいへきこうじじむしょ 所長しょちょう

廃炉はいろにおける汚染水処理おせんすいしょりは、重要じゅうよう緊急性きんきゅうせいたか仕事しごとです。「凍土遮水壁とうどしゃすいへき」は汚染水処理おせんすいしょり対策たいさくの1つで、2013年度ねんどにスタート。「原子炉建屋げんしろたてやまわりに“こおりかべ”をつくり、汚染源おせんげん地下水ちかすいちかづけないことで建屋内たてやない汚染水おせんすい発生はっせいらす対策たいさくです」とかたる、凍土遮水壁とうどしゃすいへき工事責任者こうじせきにんしゃ鹿島建設かじまけんせつ所長しょちょう淺村忠文あさむらただふみさんにおはなしうかがいました。

工事こうじのあらましと、このあとの予定よていおしえてください。

淺村あさむらさん:

現在げんざい、1にちやく300トンの地下水ちかすい建屋内たてやないながんでいます。この地下水ちかすい原子炉げんしろひやしたあとのみずざり、汚染水おせんすいやしています。そこで、1〜4号機ごうき建屋群たてやぐんかこ地下ちか凍結管とうけつかんを1メートル間隔かんかくめて、そのなかにマイナス30液体えきたい冷却剤れいきゃくざい循環じゅんかんさせて地盤じばんこおらせます。総延長そうえんちょう1500メートル、ふかさ30メートル、あつさ2メートルもの巨大きょだいこおりかべ完成かんせいすると、地下水ちかすい流入りゅうにゅうを1にち100トン未満みまんらすことができます。山側やまがわきた西にし南側みなみがわ)は今年ことし7がつ凍結管とうけつかん設置せっち完了かんりょう海側うみがわ東側ひがしがわ)も11がつ完了かんりょう予定よていです。凍結とうけつはじめられる状態じょうたいになるのは、16ねん2月頃がつごろ見込みこみです。

福島ふくしまのために一肌脱ひとはだぬごう」というつよ意志いしかんじます

毎日まいにち、どのようにお仕事しごとをされているのでしょう。

淺村あさむらさん:

凍土遮水壁とうどしゃすいへき工事現場こうじげんばでは1にち平均へいきん500〜600にんおおいときで800〜900にんはたらき、14ねん5がつから今年ことし8月末がつまつまでの人数にんずうは24まん7700にんのぼります。このなつ大変たいへん猛暑もうしょでしたが、作業時間さぎょうじかん調整ちょうせい入域前にゅういきまえ体調たいちょうチェック、現場内休憩所げんばないきゅうけいじょ「クールハウス」など熱中症予防策ねっちゅうしょうよぼうさくこうじたおかげで、作業さぎょうをやりげることができました。

ここには20だい若者わかものから、退職前たいしょくまえにもう一働ひとはたらきしようという年配者ねんぱいしゃまで、さまざまなひとたちがあつまっています。かれらに共通きょうつうしているのは、こころざしたかさです。それまでとちが作業環境さぎょうかんきょうに、まったく不安ふあんがないわけではないとおもいます。それでも、「自分じぶんなんとかしてやるんだ」とおもっているかたおおいのです。福島ふくしま復興ふっこう日本にほん安全あんぜんのために「一肌脱ひとはだぬごう」というつよ気持きもちをかんじますね。

苦労くろう多々たたおありでしょうね。

淺村あさむらさん:

今年度中こんねんどちゅう凍結開始とうけつかいしけてとてもむずかしかったのが、短期間たんきかんで、資材しざい機械きかいあつめたり人繰ひとぐりを調整ちょうせいしたりすることでした。たとえば、全国ぜんこくからあつまる作業員さぎょういんさんの宿舎しゅくしゃ確保かくほするため、広野町ひろのまち宿泊施設しゅくはくしせつ(300人収容にんしゅうよう)を新設しんせつしました。ところが、はたらひと予想よそうえたため、いわき市内しないのホテルをまるごとりたり、鹿島建設かじまけんせつのほかの宿舎しゅくしゃきを利用りようしたりしました。一時いちじ600人以上にんいじょう宿舎しゅくしゃ用意よういするのに、いわき湯本ゆもと温泉宿おんせんやど勿来なこそのゴルフじょうのロッジ、北茨城きたいばらきまでさがしました。あと、作業員さぎょういんさんのらしをささえるのに、食事しょくじ充実じゅうじつかせません。宿舎しゅくしゃ食堂しょくどうでは、ボリュームはもちろん、「にく」や「さかな」をもうけて食事しょくじたのしみになるよう、いろいろな工夫くふうをしています。

ばくを心配しんぱいされる作業員さぎょういんさんもいるのでは?

淺村あさむらさん:

たしかに、放射線ほうしゃせんについては誤解ごかいすくなくないようです。家族かぞくにずいぶん心配しんぱいされて、「本当ほんとうのところはどうなんですか?」といてくる作業員さぎょういんさんもいます。ただ、自分じぶん数値すうち確認かくにんし、日々ひびばく線量管理せんりょうかんり体験たいけんすると、しっかり管理かんりしていることがわかり、安心あんしんしてくれるようです。鹿島建設かじまけんせつくに基準きじゅんもとづき、ばく線量せんりょう厳密げんみつ管理かんりしています。凍土遮水壁とうどしゃすいへき1F構内いちえふこうないのほかの工事こうじちがい、線量せんりょうたか場所ばしょけて工事こうじをすることがむずかしい線状せんじょう構造物こうぞうぶつです。そのため、工事前こうじまえ除染じょせんをしたり、コンクリートのかべつくったり、砂利じゃり鉄板てっぱんくなど、放射線量ほうしゃせんりょうげる処置しょり念入ねんいりにおこなっています。そして、作業員さぎょういんさんはほぼ全員ぜんいんばく線量せんりょうやく2〜3わりらすことのできるタングステンベストをています。

毎週元気まいしゅうげんきかおせることで家族かぞく安心あんしん

淺村あさむらさんご自身じしん不安ふあんではありませんか?

淺村あさむらさん:

わたし放射線管理区域ほうしゃせんかんりくいき仕事しごとをするのは、震災後しんさいごはじめてです。地震発生じしんはっせいから2週間後しゅうかんご緊急工事きんきゅうこうじはいったときは構内こうない放射線量ほうしゃせんりょうはまだたかく、とても緊張きんちょうしました。その徐々じょじょいてきましたし、ばく線量管理せんりょうかんり徹底てっていされているので、いまはとりわけ不安ふあんかんじることはありませんね。家族かぞくはさすがに、震災直後しんさいちょくご心配しんぱいそうでしたが、いまでは「しっかり安全対策あんぜんたいさくがなされているのであれば大丈夫だいじょうぶ」とおもってくれているようです。

やすみのはどうやって息抜いきぬきを?

淺村あさむらさん:

13ねん10がつから単身赴任たんしんふにんしていますが、日曜にちようはなるべく東京とうきょう自宅じたくかえっています。たのしみは、愛犬あいけん散歩さんぽです。平日へいじつはゆっくりする余裕よゆうはあまりありませんが、福島ふくしまでも散歩さんぽがいい息抜いきぬきになっています。ちなみに、作業員さぎょういんさんたちは福島県内ふくしまけんない観光かんこうしたり、ゴルフのほか、山登やまのぼり、 りやスキーなどをたのしんでいるようですよ。きびしい現場げんばたかこころざしつづけられるのも、仕事しごとやすみのえがうまくいっているからなのではないでしょうか。

プロフィール
淺村忠文あさむらただふみさん
  • 出身地しゅっしんち山口県やまぐちけん
  • 好物こうぶつきらいなし。
  • 福島名物ふくしまめいぶつのイチオシ】メヒカリ
  • 休日きゅうじつごしかた散歩さんぽ

1981年入社ねんにゅうしゃ。14年間ねんかん原子力室げんしりょくしつ所属しょぞく。95ねんから鉄道建設てつどうけんせつたずさわり、つくばエクスプレス「つくばえき」など、おも関東圏かんとうけん鉄道現場てつどうげんば所長しょちょうつとめる。震災後しんさいご1Fいちえふのほかに、岩手県宮古市田老地区いわてけんみやこしたろうちく高台移転事業たかだいいてんじぎょうにも参加さんか

つとさき
鹿島建設株式会社かじまけんせつかぶしきがいしゃ

凍土遮水壁事業とうどしゃすいへきじぎょうは、くに補助事業ほじょじぎょうとして2013年度ねんどから東京電力とうきょうでんりょく鹿島建設かじまけんせつ設置せっちすすめている。13ねん5がつ汚染水処理対策委員会おせんすいしょりたいさくいいんかい鹿島建設かじまけんせつ提案ていあんした凍土方式とうどほうしき陸側遮水壁りくがわしゃすいへき工法こうほう決定けってい同年どうねん8がつより実証試験開始じっしょうしけんかいし資源しげんエネルギーちょうより、2013ねん10がつ東京電力とうきょうでんりょく共同きょうどう大規模工事だいきぼこうじ本事業ほんじぎょう)を受注じゅちゅう同月どうげつ、2013年度ねんど予備費よびひ活用かつようする特別措置とくべつそち本事業ほんじぎょうがスタートしました。

関連コンテンツ

このページの先頭へ↑