2026年4月10日
Vol.7 2号機 使用済燃料プール
からの燃料取り出しの現場
福島第一原子力発電所では、一日に数千人の作業員による数百件におよぶ作業が日々行われています。廃炉作業の最前線をシリーズで紹介していきます。
福島第一原子力発電所
プール燃料取り出しプログラム部
2号燃料取扱設備プロジェクトグループ
鈴木 聡則
- 仕事概要
- 私が担当しているのは、2号機の使用済燃料を取り出すための設備設置プロジェクトです。原子炉建屋上部の使用済燃料プールに保管されている燃料を取り出し、構内の共用プールへ移送することで燃料をより安定した状態で管理することを目的としています。私たちの役割は、その燃料取り出しに向けて必要となる作業環境を整え、燃料取扱設備の設計・製作・輸送・設置までを進めていくことです。
人が入れない場所に道を拓く 技術と工夫の遠隔操作
2号機の燃料取り出しでは、原子炉建屋の上部を大きく解体するのではなく、建屋南側に設けた小さな開口部から燃料を取り出す方法が採用されています。当初は建屋上部を解体して燃料を取り出す方法も検討されていましたが、2号機は建屋の損傷が比較的少なく、建屋を大きく解体すると内部に残る放射性物質が飛散するリスクがあります。そのため、建屋を残したまま燃料を取り出す方法が検討され、現在の工法が採用されました。この工法では、建屋の外側に燃料取り出し用構台を設置し、建屋との間に敷設したランウェイガーダのレール上を燃料取扱設備が走行する仕組みになっています。
燃料取り出しに向けた設備の設置や作業を行うオペレーティングフロアは線量が高く、そのままでは人が作業できる環境ではありません。まずは作業が可能な環境を整える必要がありました。遠隔操作重機を使って内部の機材や不要物を搬出し、除染作業を進めました。高圧洗浄などによる除染も行いましたが、それでも線量が十分に下がりませんでした。そこで放射線を遮る遮へい材を設置し、線量を低減していきました。遮へい材は数百ピースに及び、遠隔操作の重機で一つずつ設置していきます。フロアへの出入り口は限られており、除染で発生した廃棄物の搬出と遮へい設置の作業も並行して進める必要がありました。そのため作業の段取りを調整しながら進めていくことが難しいところでした。振り返ってみると、設備を設置する作業ももちろん大変でしたが、この作業環境を整える工程もかなり難しかったと感じています。多くの作業を遠隔操作で行う必要があり、作業の進め方を検討しながら少しずつ環境を整えていきました。
阿吽の呼吸で巨体を据える、経験と絆が生んだ力
作業環境が整った後、次に設置するのが燃料取扱設備です。これは使用済燃料プールから燃料を取り出し、輸送用キャスクへ移し替えるための装置です。燃料取扱機、クレーン、ジブクレーンなどを組み合わせた設備で、遠隔操作により燃料の取り扱いを行います。
設備は川崎の工場で製作されました。重量は約230トンに及びます。完成した設備は船で福島へ輸送され、港で陸揚げされた後、スーパーキャリアで2号機近くまで搬入されました。その後クレーンで吊り上げ、燃料取り出し用構台へ据え付けています。輸送や設置の作業は海況や風の影響を受けやすい工程ですが、今回は海も穏やかで風も弱く、条件に恵まれた中で作業を進めることができました。設備を構台最上部に設置されたランウェイガーダに乗せる際は、設備の揺れを抑えながら慎重に位置を合わせていきます。レール上に正確に据え付ける必要があるため、チェーンブロックでワイヤーを二重に張るなど荷振れ防止の対策を行いながら、少しずつ位置を調整して設置しました。
このプロジェクトには多くの人たちが関わっています。メンバーの多くは前身の組織で一緒に仕事をしてきたメンバーで、さらに3号機燃料取り出しに関わってきたパートナー企業の担当者も加わっていました。これまでの経験や関係性があったことで、高いチームワークで作業を進めることができました。そのことが、今回の設備設置を進めるうえで大きな力になったと感じています。今回の設備設置は、2号機の燃料取り出しに向けた重要な準備の一つです。ここで整備された設備が、これからの燃料取り出し作業を支えていくことを期待しています。
2号機燃料取扱設備の試運転の現場
2号機の南側構台に設置された燃料取扱設備を遠隔操作して、使用済燃料プールまで移動させ、プール内の燃料を取り出す作業です。
現在は、搬入された燃料取扱設備の試運転を実施しています。今後、取り出しの訓練などを行い、実際に燃料の取り出しをしていきます。
福島第一原子力発電所
プール燃料取り出しプログラム部
2号燃料取扱設備プロジェクトグループ
松本 侑大
燃料取扱設備
燃料取り出しの流れ(イメージ)
空のキャスクを燃料取扱設備へ搭載する作業の試運転状況
キャスクは重さが約47トンあり、息の合った連携が必要となる
燃料取扱設備は、3台のクレーンで円弧運動が多い機器構成のため現場指揮者としてTBM-KY※で全員の認識合わせを行っています。遠隔操作室(事務所)及び南側構台(現場)に分かれて作業を実施するため、現場指揮者として必要なパラメータの確認及びオペレータ(新野さん)との認識を合わせ、設備干渉や監視人への接触等が生じないように確認しつつ安全最優先で作業を進めています。
今回、東京電力より新野さんが試験担当として弊社に出向され試験を共に出来たことは東京電力との密接なコミュニケーションをとれる良い機会となりました。今後も機会があればこのような活動が出来ればと思います。無事に2号使用済核燃料の取り出しが完了することを願っております。(東芝プラントシステム㈱:大嶋)
ツールボックス・ミーティング(道具箱の近くで少人数で行う短い打ち合わせ=TBM)と危険予知活動(KY)を組み合わせたもの。