はいろみちTOPICS 廃炉の現場

2026年8月10日

Vol.9 横置き型タンク解体の現場

福島第一原子力発電所では、一日に数千人の作業員による数百件におよぶ作業が日々行われています。廃炉作業の最前線をシリーズで紹介していきます。

廃炉の現場Vol.9 横置き型タンク解体の現場

福島第一原子力発電所

計画・設計センター

土木水対策技術グループ

おか てつ

仕事概要
私は現在、横置き型タンクの除染・解体に向けた工事監理を担当しています。横置き型タンクは、震災直後に建屋にたまった汚染水を処理する過程で生じる、放射性物質が濃縮された水(RO濃縮水)などを貯留していたタンクです。その後、より容量の大きいタンクへ水を移送したことで役目を終え、現在は水を抜いた状態で構内4か所に仮置きされています。これまでは使用していないタンクを用いて除染・解体の試験を重ねてきました。現在はその成果を踏まえ、使用済みタンクの本格的な除染・解体作業を進めています。

機械化で人を近づけず、着実にタンクと向き合う
切断も、除染も、その先まで━━皆の技術を繋ぐ

作業の流れとしては、まず仮置き場所から横置き型タンクをトレーラーで倉庫内へ運びます。タンクはそのまま解体するのではなく、輪切り状に切断します。そこから内面に貼り付けられているFRP(腐食を防ぐための樹脂)を剥がして除染を行います。放射性物質はこのFRPに付着しているため、鉄の部分と分離する必要があります。除染では、まずレーザーでFRPに切り込みを入れ、その後レーザーを照射して接着部分を加熱します。さらに急速に冷却することで温度差を生み出し、鋼材をたわませながらFRPを剥離していきます。

タンクの除染・解体では、作業員の被ばくをできるだけ抑えることを最も重視しています。そのため、一連の除染作業は可能な限り機械化し、人がタンクの近くで作業する時間を減らせるようにしています。特にタンクを切断する工程では、内部を開放することでダストが発生する可能性があります。そのため、切断機の直下には強力な集塵機を設置し、反対側からも吸引できる仕組みを取り入れています。また、現在は比較的線量の低い使用済みタンクから作業を進め、実績を積み重ねながら、安全性や作業効率を丁寧に確認しています。

工場内で複数の作業員が遠隔・機械化設備を使用し、大型タンクの除染作業を進めている様子

汚染されたFRPが貼られた大型タンクを除染・解体する作業は、一般産業でも前例がありません。この作業は、一つの技術だけで成り立っているわけではなく、切断や運搬、レーザー照射など、それぞれの技術を持つ施工会社やパートナー企業と協力しながらOne Teamで進めています。それぞれが持つ技術を組み合わせ、一つひとつ確認しながら、この一連の作業方法をつくり上げてきました。

確かなタンク解体が次の景色をつくる

今後は除染・解体を進めるタンクを順次増やし、視察ルート沿いに設置されている横置き型タンクの解体も予定しています。

敷地内に設置された多数の横置き型タンクと鉄塔。タンク解体による廃炉作業の進展を示す風景
燃料デブリ取り出し関連施設等を建設する敷地を確保するため
タンクを減らすことが、廃炉へとつながる

これまで当たり前のように並んでいたタンクが一つずつなくなっていくことで、廃炉が着実に進んでいることを目に見える形で実感していただけると思います。福島第一原子力発電所から汚染源を一つずつ減らし、福島復興をまた一歩前へ進めていきたいです。

解体設備内 各所の役割

タンク搬入から切断、FRP樹脂剥離、検査までの除染・解体工程を示した図

福島第一原子力発電所

汚染水対策プログラム部

貯留設備解体プロジェクトグループ

前城 まえしろ なお

横置き型タンク解体の意義

横置き型タンクは、震災後12年以上にわたり仮置きされている設備です。経年劣化によるリスクや、内部に残る放射性物質の拡散リスクを低減するため、計画的に解体・撤去を進めます。

また、作業によって空いたスペースは、今後の廃炉作業に必要な敷地として有効活用し、廃炉を着実に前に進めてまいります。

作業で大切にしていること

タンク内部のFRPを剥離・除染する作業は、一般産業でも前例のない難易度の高い作業です。そのため、東京電力だけでなく、パートナー企業の皆さまとOne Teamとなり、技術力と現場力を結集しながら、安全かつ確実に作業を進めてまいります。

この作業に携わるメンバー

タンク除染・解体プロジェクトに携わるメンバー2名の紹介写真

横置き型タンクの解体は過去に誰も経験した事がないプロジェクトです。事前の技術検討やモックアップ、そして未使用タンクを用いた試験施工を通じて作業方法を確立しブラッシュアップしてきました。これから汚染のある使用済みタンクの除染・解体作業が始まりますが、得られた知見を活かしつつ、トラブルなく除染・解体できるよう、安全第一で作業を進めていきたいと思います。

大変難しい仕事ではありますが、毎週岡野さんをはじめとした関係者が集まり諸課題について意見交換するなど、コミュニケーションは大変良好で、まさにOne Teamで一丸となって難しい仕事に取り組むことができています。

作業員がタンク除染・解体設備を確認している様子

これからもこれまでと同様に、One Teamで難題を乗り越え、無災害で全ての横置き型タンクを除染完了できるよう、全力で頑張ってまいります。

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