2017年2月14日
- 名畑 崇さん
- 有限会社前枝建設
統括部長
現在、1Fで働く作業員の多くは隣接地域から通勤しています。これまでは、駐車場としてJヴィレッジを貸していただいておりましたが、2016年11月末の返還に伴い、駐車場と周辺道路の整備が必須の課題です。1Fでその作業に取り組む前枝建設の名畑さんに、お話をうかがいました。
いまはどのような仕事を担当されていますか。
1Fの新事務本館裏側にあたる部分で、駐車場の整備工事と周辺道路の工事を担当しています。いままで更地だったところに駐車場を造成し、それに伴い狭い前面道路の幅を大きくする作業です。
計画している駐車場は400台から500台入る規模です。駐車場が足りず、自家用車での通勤がままならない現状から見ればまだまだ不十分かもしれませんが、まずはこれが必要な一歩になるのだと考えて整備工事に取り組んでいます。
現在は駐車場となる敷地に砂利を敷いている状況なのですが、年が明けてからアスファルトで舗装していきます。予定された工期が2017年の3月までですから、それまでに前面道路の拡幅工事も終えます。
整備を始めたのはいつ頃からですか。
私が1Fに来たのは2015年10月のことです。人手が足りないということで派遣されることになりました。その頃は先に来ていた社員たちと一緒に構内の地面を除染し、コンクリートで覆う作業に携わっていました。仕事が駐車場と周辺道路の整備に変わったのは今年の1月からです。
原発構内の作業ということで、携帯線量計を付けて作業をするなど、世間一般の建設業のルールとは大きく異なるところがあります。普段なら気にせず作業をしていたようなことが、ここではとにかく安全を第一に考え、安全の上に安全を重ねて作業することになっていて、それがルールになっています。
当初はそういったルールの違いに戸惑いを覚えたこともあったのですが、いまはだいぶ慣れてきました。そもそも線量自体、以前に比べれば格段に減りましたし、作業を行うのは自分たちの手で除染をした場所ですから、心配もしていません。毎日の作業では、とにかくこの仕事を工期通り確実に終わらせるにはどうすればいいか、ということしか考えていないですね。
一般の建設現場より安全を意識できる場所
仕事のうえで工夫されたことはありますか。
とくに意識して工夫した点はないのですが、先ほども言ったように線量計を身につけるなど原発構内でのルールをしっかり守り、当たり前の作業をきちんと一つひとつこなしていくことが何よりも大切だと考えています。
そして、重要なのが報告です。通勤時や帰宅時に車が故障したり、作業の上でちょっとしたトラブルがあった場合は、どんなに小さいことだと思ってもとにかくすぐ上司に一報を入れること。報告の重要性は日頃から社内でも徹底されていることなのですが、一般の建設現場とは違う場所でもあるので、いつも以上に注意して逐一報告するようにしています。それによってトラブルを未然に防ぐことができますし、翌日の仕事を円滑に進めることにもつながります。
また、ここは一般の建設現場よりも安全についてより強く意識する現場で、一に安全、二に安全ですから、若い社員たちの安全意識を高める教育のためにはむしろ最適な場所だと考えています。自分自身が意識することはもちろんですが、社員たちの安全指導にも力を入れています。
職場の雰囲気はいかがですか。
現在は作業に携わる人数が増えてきたので、各班長クラスの人間はとにかくスタッフとのコミュニケーションを密にして、仕事につながるように心がけています。会議も定期的に開いています。
いま駐車場などの整備工事に関わっている弊社従業員は15人います。寮に住む社員もいれば自宅から通う社員もいて、全員が一堂に集まれる機会はなかなかないのが現実です。しかし従業員同士のコミュニケーションを深めることは大切ですから、毎月みんなで食事に行き、仕事の話やプライベートなどさまざまなことを話し合っています。
そのおかげか、作業現場はチームとしてうまくまとまって、工事は円滑に進んでいます。社員たちもこの仕事に誇りを持って臨んでいるのだと思います。
廃炉作業員のサポートとなる仕事
仕事のやりがいはどういうところに感じますか。
駐車場整備と道路拡幅はまだ完全に出来上がったわけではなく、作業中の状態ですが、その前に手掛けた除染と地面を覆う工事が終わったときはひとつ達成感がありましたね。仲間たちが何年もかけ、力を合わせて進めてきた仕事なので、打ち上げのときには私だけでなく社員全員が大きな達成感を得ていたと思います。
いま1Fで作業をしている全員にとって、廃炉というのがいうまでもなく最終目標ですが、私たちの仕事が直接的に廃炉作業に関わるわけではありません。しかし、廃炉に携わる作業員のみなさんが通勤される際に発生している渋滞を緩和し、安心して日々の作業に臨めるようにサポートするのが私たちの仕事ですので、やはり一日でも早く駐車場を整備し、車の出入りがしやすいよう道路を拡幅することで廃炉の達成に貢献しようと、仲間たちとも日頃から話しています。
ご家族にはどのような話をされていますか。
ここに来る前は、懸念のようなものがまったくなかったわけではありませんが、すでに現場に入っている仲間たちの声を細かく聞いて、それなら大丈夫だろうと思っていました。実際に来てみると、先ほども言ったように安全対策がしっかりしていますし、線量も徐々に減っていったので、問題は何も感じませんでした。
とはいえ、妻も子供も1Fについてはマスコミで報じられている程度しか情報を持っていません。ですから、自分自身が仕事のうえで安全を最大限に意識することを心がけるだけでなく、1Fの作業現場は安全なんだということを家族にも伝えています。1Fで作業されているみなさんもそうした意識を持って伝えてくだされば、現場の正しい情報をもっと的確に家族も理解してくれるのではないかと思っています。
メッセージ
毎朝毎晩1Fに通勤・帰宅するみなさんのために駐車場を整備し、渋滞緩和に努めることで、廃炉の実現に向け貢献したいと考えています。
- プロフィール
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名畑 崇さん
宮城県仙台市出身。好きな食べ物は焼肉をはじめ肉類。休日は子供と遊んだり、川や池にブラックバス釣りに出かけるのが楽し
- お勤め先
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有限会社前枝建設
1993年大阪にて創業。土木・道路・水道工事などを手がけてきた建設会社。道路舗装・整備をはじめ地盤改良、鉄道、配管など多様な建設工事に技術とノウハウを有している。