2017年10月18日
- 蛭田 松文さん
- 東電フュエル株式会社
所長
- 中村 春喜さん
- 東電フュエル株式会社
センター長
- 藤浪 正信さん
- 東電フュエル株式会社
- 佐藤 直樹さん
- 東電フュエル株式会社
- 山本 周平さん
- 東電フュエル株式会社
1Fには構内で働くみなさんが安心して作業に取り組めるよう、ふだんから構内を点検して災害を未然に防ぐとともに、万一火災が起きたときには、すみやかに駆けつけて消火できるよう消防隊が組織されています。今回は、東電フュエルの消防隊のみなさんにお話をうかがいました。
いざというときの消火活動だけでなく
ふだんのパトロールも重要な仕事
お仕事の内容を教えてください。
蛭田さん:
私たちは、震災前の2008年12月から1Fで防災業務を行ってきました。ふだんは敷地内で点検やパトロールをしていますが、万一、1F敷地内で火事が起きたという連絡が入ったら、すぐさま装備を身につけて消火のために出動します。消防車には、大きく分けて水槽車と化学車の2種類があり、水槽車というのは水を出す一般的なポンプ車のことで、化学車というのは油が燃えたようなときのために泡原液を出す車両のことです。
中村さん:
私はセンター長という肩書で、消防隊の中心となって働いています。最近も何回か出動しましたが、幸いなことに炎や煙が出たというわけではなく、どれも火災報知機の誤作動などによるものであり、大事に至ることはありませんでした。
仕事柄、24時間待機する必要があると思いますが、どのような体制で仕事をしているのですか。
藤浪さん:
3つの班で交代勤務しており、1つの班は6名から構成されています。私は、3つある班のうちのA班で、責任者センター長代理をしています。勤務時間は朝の8時から翌朝の8時までの24時間で、1日勤務を行い翌日は明けです。緊急の出動はいつあるかわからないので、待機している間も緊張感をもっています。
佐藤さん:
私も、藤浪さんと同じくA班に属しています。パトロールは構内を7つのエリアに区分けして、順にまわっています。主に作業員のみなさんが帰った夕方からパトロールをして、火事になるおそれのある火種が残っていないかを確かめることはもちろん、木が倒れていないか、油がもれていないかなど、構内で何か異常がないかを1時間半ほどかけて確認しています。
同じ消防隊の仕事でも
火力発電所とは大きく違っていた
みなさん、これまで千葉の火力発電所で仕事をなさっていたと聞きました。
山本さん:
この5人は全員千葉県出身で、以前は千葉県内の火力発電所内で消防隊として働いていたメンバーです。なかでも私は、1Fに来てまだ2カ月なので、いろいろと勉強している最中です。火力発電所との一番の違いは、放射線から防護するための装備が多いことですね。パトロールだけなら防護服だけでいいのですが、出動となるとその上に防火服を着なくてはなりません。服を着るための時間はかかりますし、夏は暑くて大変です。
また、1F構内にはたくさん消防車がありますが、これまで使っていた火力発電所の消防車とは、操作方法の違うものがあるので少し苦労しています。
藤浪さん:
火力発電所と違って、原子力発電所の防災には、法律に従っていろいろと細かく厳しいルールがあり、覚えなくてはならないことがたくさんあります。ほんのささいなことでも、放射線に関するルールに触れて問題になることがあるので、十分に注意をしなくてはなりません。
みんなで知恵を出し合って
出動時間を短くする工夫を重ねている
仕事をうまく進めるためにどんな工夫をしていますか。
藤浪さん:
出動するまでの時間をなるべく短くするために、みんなで知恵を出し合って改善し続けています。たとえば、装備や携行品を置く場所を一カ所にまとめ、ロッカーの位置を工夫して動線が短くなるようにしたり、防護装備の付け方の改善をしたりしました。その結果、以前は連絡が入ってから現場到着まで15分ほどかかっていたものが、現在では10分以内で到着できるようになりました。
さらに早く現場に駆けつけられるよう、各班ではさまざまな状況を考えながら、月に数回訓練を行っています。
佐藤さん:
私は1Fに来てから2年あまり経ちますが、構内の復旧スピードが早いことに驚きます。そのために、どこに新しい道ができたのか、どこに新しい建物が建ったのかを常に確認しながら、現場に最短時間で到着する訓練をしています。
どういうことにやりがいを感じていますか。
山本さん:
1Fは廃炉という重要な作業をしている現場ですから、その中で防災の仕事をするというのは、ほかではできない体験です。そこにやりがいを感じています。
蛭田さん:
私たちは、火災が起きたときに素早く対応することはもちろん、災害が起きないようにふだんから地道に活動しています。私たちが毎日パトロールをして、いざというときのために待機していることで、作業員の方々が安心して仕事をできるようであれば、これほどやりがいを感じることはありません。
ところで、休日はどのようなことをして過ごしていますか。
蛭田さん:
休日はたいてい自宅のある千葉に帰っています。家は農業をしているので、その手伝いをしていますね。帰ればいろいろやることがあって、あっという間に時間がたってしまいます。
藤浪さん:
私たち現場の部隊は、3直する(24時間勤務を3回)と、基本的に3日間休みがとれます。たとえば、月水金と仕事をすると、日月火と休めるわけです。そのときは、地元の千葉に帰って地元の消防団の活動をしたり、友人たちと飲んだりしています。
蛭田 松文さん
いわき市在住。震災のときは1Fで仕事をしていて、その後しばらくの間、緊急作業に従事。2017年4月に再び戻ってきた。記憶の中の1Fとは様変わりしていることに驚いている。
中村 春喜さん
2015年5月から1Fで仕事をしている。現在住んでいる広野町で卓球クラブに所属しており、週に1、2回、平日の夕方に卓球を楽しんでいる。
藤浪 正信さん
2016年11月に1Fに来た。自宅は千葉県にあるが、広野町にある会社の寮で生活しており、休日に自宅に帰らないときは寮の仲間と飲んでいることが多い。
佐藤 直樹さん
2015年5月から1Fに。住まいはいわき市内にある。休日は、とくに予定がなければ地元の千葉に帰って、もっぱら家族サービス。まだ小さい子ども2人に会うのが楽しみ。
山本 周平さん
2017年7月に1Fに来たばかりで、広野の寮で生活している。休日は、なるべく千葉に帰って家族サービスをするようにしている。
私たちは作業員のみなさんが少しでも作業に集中できるよう、1Fの安全のために日々取り組んでいます。みんなの力で1日でも早い廃炉を実現しましょう。
- プロフィール
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蛭田 松文さん
いわき市在住。震災のときは1Fで仕事をしていて、その後しばらくの間、緊急作業に従事。2017年4月に再び戻ってきた。記憶の中の1Fとは様変わりしていることに驚いている。
中村 春喜さん2015年5月から1Fで仕事をしている。現在住んでいる広野町で卓球クラブに所属しており、週に1、2回、平日の夕方に卓球を楽しんでいる。
藤浪 正信さん2016年11月に1Fに来た。自宅は千葉県にあるが、広野町にある会社の寮で生活しており、休日に自宅に帰らないときは寮の仲間と飲んでいることが多い。
佐藤 直樹さん2015年5月から1Fに。住まいはいわき市内にある。休日は、とくに予定がなければ地元の千葉に帰って、もっぱら家族サービス。まだ小さい子ども2人に会うのが楽しみ。
山本 周平さん2017年7月に1Fに来たばかりで、広野の寮で生活している。休日は、なるべく千葉に帰って家族サービスをするようにしている。
- お勤め先
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東電フュエル株式会社
1955年に南明興産株式会社として設立。2011年に東電グループの燃料系3社が合併して東電フュエル株式会社が発足した。火力発電所用向けの燃料供給や海上輸送、発電所内の防災・警備業務など、幅広い事業を行っている。