2017年11月15日
- 松井 秀光さん
- 株式会社中里工務店
大熊事業所 工事課長
- 篠﨑 靖史さん
- 株式会社中里工務店
大熊事業所 工事課長代理
- 石井 賢治さん
- 株式会社中里工務店
大熊事業所 工事主任
- 渡邉 徹さん
- 株式会社中里工務店
大熊事業所 工事主任
- 佐藤 諒さん
- 株式会社良建工業
- 大澤 一仁さん
- 有限会社三瓶工務店
1F構内のふれあい交差点に、この秋、新しく給油所(ガソリンスタンド)が完成しました。これまでの給油所にくらべて、安全に多くの燃料を保管することができるようになりました。今回は、この給油所の工事および1F構内の建物の改修工事を担当している、中里工務店とその協力会社の方々にお話をうかがいました。
安全性が増した新しい給油所は
災害が起きたときにも役に立つ
まず、給油所の工事について教えてください。
石井さん:
これまで、ふれあい交差点の横には屋根のない給油所がありましたが、そのすぐ近くに新しい給油所、詰替所、注油所という合計3つの建物と付帯設備を設計・施工でつくりました。給油所は、ふつうのガソリンスタンドと同じで、ガソリンと軽油を入れることができます。給油所を建てる仕事は、2014年12月からはじまりました。震災前、このあたりは野鳥の森でしたが、震災後に伐採し、地盤改良や造成をして、2016年12月に基礎工事がはじまり、工事監理Grや関係者の方々のご指導の下、2017年秋に無災害で完成しました。
松井さん:
新しい給油所の地下には、30キロリットルの軽油タンクが2本、ガソリンタンクが1本設置してあります。これまでの給油所では、軽油、ガソリンのタンクがそれぞれ600リットル1本だけでしたから、継ぎ足す手間が大きく省けます。また、災害が起きたときの非常用燃料としても十分に対応できるようになりました。詰替所、注油所というのは、構内に保管しているコンテナ型のISOタンクの点検に使います。油の種類ごとに注油所で抜き取ったのちに、ISOタンクに不具合がないか試験をして、合格すれば詰替所でまた油を入れるという手順で作業します。この試験のために、屋外に30キロリットルのタンクを8基つくりました。
大澤さん:
この給油所の工事では、中里工務店のもとで、専門ごとに多くの協力企業とともに仕事を進めました。私たち三瓶工務店も、そうした会社の一つです。重機作業、舗装工事など、土工工事全般にわたっていろいろな仕事をしましたが、主に基礎工事を担当しました。
建物改修チームは、どういうお仕事をしているのですか。
篠崎さん:
大型機械を使い、地震で壊れた建物を改修して、建物を使用できるようにします。たとえば、地震で地盤が下がったり、コンクリートが割れてしまったところは、解体してコンクリートを新しく打ち直したりということをします。私は現場代理人として、工事計画と施工管理が主な役目です。
渡邉さん:
私は工事担当という立場で、協力会社に仕事を割り振ったり、関連部署との打ち合わせをしたり、安全と品質を確保しながら仕事を進めるための計画書を作成したりしています。いわば、工事をうまく進めていくための仕事です。
佐藤さん:
私たち良建工業は、工事に必要な足場の組み立てと解体、鉄骨工事などを行っています。私たちの会社からは、15人ほどが毎日1Fに入って仕事をしています。
作業での注意点が具体的に示され
安全に対する取り組みが徹底している
1F構内での土木工事や建築工事に不安はありませんでしたか。
渡邊さん:
以前は、福島県内で違う仕事をしていたのですが、転職して2015年4月から1Fで仕事をしています。県内にいたので、放射線についての情報や知識はある程度ありましたが、身近で1Fに入っている人がいなかったので、多少の不安はありました。でも実際に入ってみて、仕事をする場所はすでに高線量ではなく、労働環境もよくなってきたことを知り、まわりで思っているほど心配する必要はないと感じました。
松井さん:
震災後、私は本社のある南相馬市の原町で、公共の学校や民間の建物などの復旧工事の仕事をしていました。1Fから、わずか20数キロしか離れていませんでしたが、1Fに異動するように言われたときは、少し不安だったというのが正直なところです。でも、1Fについての情報は震災時から社内で共有していたので、そう心配することはないということもわかっていました。
佐藤さん:
私が1Fに初めて来たのは2015年6月です。入る前には不安はありましたが、実際に来てみると雰囲気もよくほっとしました。さらに、ここ2年で除染が進んで、構内もずいぶん明るくなったように感じられます。
ほかの現場とはどういう点が大きく違いますか。
渡邊さん:
放射線よりも問題だったのは夏場の作業でした。全面マスクをつけると、顔が圧迫されて視界が狭くなり思うように動けません。しかも、マスクを締めつけすぎると呼吸がしづらく気分が悪くなるので、その調節をうまくするように心がけました。また、水分補給には気を使って、熱中症にはとくに注意しました。
大澤さん:
1F構内では、安全に対する取り組みが徹底していますね。それがよくわかるのが、朝礼や打ち合わせの内容です。ほかの現場では、「がんばろう」「けがをしないように注意してください」という言い方をすることが多いのですが、1Fでは「今日の作業では、こういうことをして、こういう点が大切です」「長いものや重いものは、必ず2人で持つように」というように、作業での注意点がわかりやすく具体的に示されます。そうした点で、安全に対する意識が、一歩進んでいると感じます。
また、このチームはとても雰囲気が明るくて、言いたいことを言えるのがいいところです。ですから、仕事上でも、お互いに遠慮せずに声をかけることができます。ここまで事故がなくやってこられたのは、それも大きな理由だと思います。
石井さん:
なにより大切なのは、協力会社の方々の安全の確保です。遠くからいらっしゃっている方もいますから、ふるさとでは家族が待っていますから、しっかり仕事をして安全に帰ってほしいと願っています。私は、一緒に仕事をする人には、必ずどこから来たか、どんな仕事をするのかを聞くようにしています。ふるさとの地名と仕事の内容を聞くことで打ち解けることができて、ひいてはそれが安全につながると思うからです。
廃炉まで関われるのは光栄
前向きに仕事にかかわっていきたい
どんなときに仕事にやりがいを感じますか。
篠崎さん:
工期を守って無事に仕事が終わり、仕事の出来ばえをチェックした担当者の方から、「中里工務店にお願いしてよかった」という言葉をいただいたときは、本当にうれしかったですね。
石井さん:
震災前の1Fを知っている私のような者からすると、現在の1Fの姿を見てむなしく感じることはありますが、考えようによっては廃炉まで関われるのは光栄でもあります。今は、廃炉に向けて前向きに仕事をしなくてはと思っています。
松井さん:
中里工務店という会社は、1Fで1号機をつくりはじめたときに、そのお手伝いをする会社としてスタートしたと大先輩からよく聞かされてきました。それを考えると、1Fで働くことで、ようやく私もこの会社の一員になれたような気がします。いいチャンスを与えてもらいました。そして、私たちが建てた建物が、ずっとここに残っていくと考えると、男のロマンや生きがいを感じますね。ぜひ、末永く長く使ってほしいと思います。
休日はどんなことをしていますか。
大澤さん:
私の趣味はインターネットでのDJ配信です。休日は、若いころ流行ったディスコ音楽に私自身が曲の紹介や解説を付けて、同世代の人向けにインターネットで見てもらえるようにしています。先日は、東京・六本木にあるディスコのマハラジャに行ってDJをしてきました。新しくできたマハラジャの仙台店にも行ってきました。
松井さん:
休みの前日の夜に、須賀川市にある自宅に帰ります。ふだんは酒を飲まないのですが、帰った日の夜は行きつけの店で飲んで、翌日はのんびりしています。
松井 秀光さん
福島県須賀川市出身。2016年7月に1Fに来た。もともと建築が専門で南相馬市小高区の本社にいたが、給油所の建築工事が本格的になったために1Fに異動してきた。
篠﨑 靖史さん
出身も今の住まいもいわき市。2014年から1Fで仕事をしている。ラーメンが好きなので、休日は車で県内から県外まで、ラーメンの有名な町に出かけることも。
石井 賢治さん
出身も現住所も南相馬市。休日は孫を連れてドライブをするのが楽しみ。自然がたっぷりある風景をみてリフレッシュしている。1Fには、震災前の1992年に工事で来たことがある。
渡邉 徹さん
福島県棚倉町出身。現在は郡山市内に自宅がある。1Fに来たのは2015年4月。子どもがまだ小さいので、休みの日はもっぱら子どもを相手にして遊んでいる。
佐藤 諒さん
出身も現住所もいわき市内。スポーツが好きで、冬はスノーボード。雪がないときはソフトボールをしている。社会人1年目に震災があり、復興のために力になりたいと思ってこの会社で1Fに入った。
大澤 一仁さん
愛知県出身。以前から1Fで働きたいと思っていた。除染が進んで安心して働ける環境になったことを知り、地元の会社を辞めて2014年6月に1Fに来た。
ここでは、さまざまな仕事をしている人がいます。一人でできることは限られていますが、その一人ひとりの力が集まることで、廃炉に向けて少しずつ進んでいくことができます。力を合わせてがんばりましょう。
- プロフィール
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松井 秀光さん
福島県須賀川市出身。2016年7月に1Fに来た。もともと建築が専門で南相馬市小高区の本社にいたが、給油所の建築工事が本格的になったために1Fに異動してきた。
篠﨑 靖史さん出身も今の住まいもいわき市。2014年から1Fで仕事をしている。ラーメンが好きなので、休日は車で県内から県外まで、ラーメンの有名な町に出かけることも。
石井 賢治さん出身も現住所も南相馬市。休日は孫を連れてドライブをするのが楽しみ。自然がたっぷりある風景をみてリフレッシュしている。1Fには、震災前の1992年に工事で来たことがある。
渡邉 徹さん福島県棚倉町出身。現在は郡山市内に自宅がある。1Fに来たのは2015年4月。子どもがまだ小さいので、休みの日はもっぱら子どもを相手にして遊んでいる。
佐藤 諒さん出身も現住所もいわき市内。スポーツが好きで、冬はスノーボード。雪がないときはソフトボールをしている。社会人1年目に震災があり、復興のために力になりたいと思ってこの会社で1Fに入った。
大澤 一仁さん愛知県出身。以前から1Fで働きたいと思っていた。除染が進んで安心して働ける環境になったことを知り、地元の会社を辞めて2014年6月に1Fに来た。
- お仕事内容
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給油所と1F構内の建物改修の工事
中里工務店が中心となり、良建工業や三瓶工務店などの地元の協力会社とともに工事を行っている。