2018年6月13日
- 齋藤 光正さん
- 東電物流株式会社
福島支社 支社長
- 冨岡 勝利さん
- 東電物流株式会社
福島支社 資材課長 兼 安全担当
- 前島 竜太さん
- 東電物流株式会社
福島支社 業務課
- 菊原 由美子さん
- 東電物流株式会社
福島支社 業務課
- 島嵜 正夫さん
- 東電物流株式会社
福島支社 資材課
- 浅間 英光さん
- 東電物流株式会社
福島支社
廃炉作業に欠かせないさまざまな資材や、重機やトラックで使う燃料などを1Fに運んでいるのが、今回紹介する東電物流の方々です。広野町にある福島支社で働くみなさんにお話をうかがいました。
物流センターに送られてきた物資を
1Fに輸送する
みなさんは、それぞれどのように仕事を分担されているのですか。
齋藤さん:
私たちの仕事は、この福島支社内にある物流センターに送られてきた物資を1Fに輸送することです。私自身は、2017年7月に、それまでいた東京都大田区にある中央支社から支社長としてやってきました。
冨岡さん:
この福島支社には、社員が6人。委託の方を合わせて全部で10人が働いています。私は資材課長兼安全担当という肩書で、1Fに入る人や車の入構業務をするほか、タンクローリーの運転もしています。
前島さん:
1Fから、資材を運んでほしいという依頼が届いたときに、それに基づいて輸送の調整をしています。現在、私自身が1Fへの入構証を申請しているところで、これが取れれば、トラックを運転して1Fに入れるようになります。また、タンクローリーも運転できるよう、大型けん引免許と危険物免許を取る勉強をしています。
菊原さん:
私も前島と同じく入構証を申請しているところで、現在は主に事務全般や在庫管理の仕事をしています。フォークリフトや大型特殊・けん引免許を持っているので、何かあればいつでもお手伝いができます。
島嵜さん:
作業責任者として、主にトラックで物資を1Fに輸送したり、トラックの管理をしています。前島と菊原の入構証がとれたときには、2人の教育担当となる予定です。
浅間さん:
私は、タンクローリーを運転して1Fに燃料を輸送するのが主な仕事です。そのほかにも、4トンや10トントラックで荷物を運んでいます。
震災直後は、防護服を着て
全面マスクをして運転したことも
震災直後は、資材の輸送が大変だったのではありませんか。
冨岡さん:
震災の直後に、東京電力本店から食料や資材を運ぶように指示されました。ところが、当時は福島に事務所もなく、私もそれまで福島に来たことがありませんでした。夜になると真っ暗で、ナビで道を選んでも津波や地震で道が崩れてしまったために、道が途中でいきなりなくなっているということもありました。
島嵜さん:
私は震災直後に応援のためにやってきて、作業員の方々をJビレッジから1Fに運ぶバスの運転をしたことがあります。ご存じかと思いますが、当時はJビレッジで防護服に着替え、1Fまで全面マスクを付けなければなりませんでした。それは運転手も同じで、全面マスクをしながら運転するのは大変でしたね。
浅間さん:
私も東京から福島まで食料や電線などを運んでいました。ある程度落ち着いた後は、避難している住民の方が一時帰宅するための装備を、各市町村に運ぶこともしました。今では普通の作業着で1F構内に入れるようになり、本当に楽になりましたね。
現在でも大変なことはありますか。
前島さん:
今ではそんなことはありませんが、初めて荷物の輸送を依頼してくる方への対応が大変でしたね。先方も慣れていませんから、改めてこちらから連絡して、何を運ぶか、どのくらいの大きさなのか、輸送する日時はいつかなどを細かく確認しなければなりませんでした。調査に使うロボットを運ぶという依頼があったときには、時価2億円もする高価なものなので慎重に運んでほしいといわれて驚いたことがあります。
島嵜さん:
そのロボットを実際に運んだのは私です。ジュラルミンの箱に入っていたのですが、壊したら大変なのでゆっくりと運転しなければなりません。高価なうえに保険に入っていないといわれて本当に緊張しました。無事に運び終えたときは、安心して力が抜けたことを覚えています。
普段からのコミュニケーションが
無事故の記録を続けている秘訣
ところで、無事故が長期間続いていると聞きましたが、その秘訣は?
冨岡さん:
社内の8支社のなかで最も長く、1070日間無事故が続いています(2018年5月中旬の取材時点)。安全担当として言っていることは、「ここ物流センターから1Fに行って帰ってくるまでは緊張しろ。その代わり、ここではのんびりしろ」ということです。社内に帰ってきたらのんびりするという意識でいることが、無事故につながっているのかもしれません。ずっと張りつめたままでいると、心も体も疲れてしまい、それが事故につながる恐れがありますからね。
齋藤さん:
私も同感です。ですから、社内では割とのんびりしてもらえるように心がけており、休みの日にはみんなでよくバーベキューに行ったり、飲み会をしたりしています。コミュニケーションがうまくいけば仕事もうまく進むし、結果として無事故につながると思います。
前島さん:
世代には広がりがありますが、コミュニケーションはとてもうまくいっています。なんでも話せる関係で、みんな仲良く仕事をしています。
菊原さん:
みなさん、気持ちが若いのがいいですね。話していても元気で活発。何をやるにも、みんなで一緒にやろうという気になります。飲み会だけでなく、昼の休み時間にもソフトボールの練習をしたり縄跳びをしたりと、積極的に体を動かしています。
それ以外に、安全に気をつけていることはありますか。
島嵜さん:
東電物流の先輩から引き継いできた「安全確認呼称」というものがあります。例えば、信号を通過するとき、たとえ青信号であっても、心の中で「信号青よし」と確認します。交差点を通過するときには、「左よし、右よし」といっています。また、太陽の位置を確認して、そちらの方向に人の影がないかということも確認します。
浅間さん:
これは、今も口伝えで先輩から後輩に引き継がれているいい習慣だと思います。
まだまだ女性が少ない業界だが
先駆者として社内外で注目されている
菊原さんのように、物流の現場で働く女性は増えているのでしょうか。
齋藤さん:
全社員約500人のうち、まだ女性社員は1割くらいです。でも、菊原がすごいのはフォークリフト、トラックの運転、事務となんでもこなせること。フォークリフトの操作は、社内の競技会で2度も優勝したほどの腕前です。そんな働きぶりが、2018年5月8日付けの「電氣新聞」にも大きく取り上げられました。
菊原さん:
男性の多い職場ですが、みなさんとコミュニケーションをうまくとって、あまり気を使うことなく、ここまで事故なくやってこられたのはよかったと思います。フォークリフトの操作に性別は関係ありませんので、まだ知られていない仕事として女性にも興味をもってほしいですね。
ところで、休日はどのようなことをされていますか。
浅間さん:
この支社ではソフトボールをする人が多いのですが、偶然、私の中学生と高校生の娘2人も部活動でソフトボールをやっているので、よく一緒に遠征に出かけています。
また、昔から神輿を担ぐのが好きで、東京にいたときにはあちこちのお祭りに参加していました。今ではお祭りに行っても、もっぱらお酒を飲んでばかりですが。
前島さん:
私は、学生時代からバスケットボールを続けていて、今はいわき市のクラブチームに入っています。試合のシーズンになると、毎週日曜日になると、福島や茨城のあちこちで試合があります。実は、私も神輿を担ぐのが好きなのですが、今はバスケットボールが忙しくて、なかなかお祭りにいけないのが残念です。
齋藤 光正さん
東電物流株式会社
福島支社 支社長
冨岡 勝利さん
東電物流株式会社
福島支社 資材課長 兼 安全担当
前島 竜太さん
東電物流株式会社
福島支社 業務課
菊原 由美子さん
東電物流株式会社
福島支社 業務課
島嵜 正夫さん
東電物流株式会社
福島支社 資材課
浅間 英光さん
東電物流株式会社
福島支社
私たちは、1Fに飲料水の輸送もしています。これからまた暑い季節がやってきますが、しっかり水分を補給して熱中症にならないように気をつけてください。
- プロフィール
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齋藤 光正さん
東京都小平市生まれ。バイクのほかにソフトボールも趣味で30年近く続けており、転勤とともにバットとボールを福島に持ち込み、地域のチームに参加している。
冨岡 勝利さん埼玉県上尾市出身。過去に3回、ボディビル大会に出場している。今でも週に3、4回、いわき市内でウェイトトレーニングをしており、定年後にはまた大会に出たいと考えている。
前島 竜太さん埼玉県上尾市出身。入社後に、冨岡さんと偶然同じ学校の先輩後輩だったことを知る。福島に来る前には、毎年浅草の三社祭で神輿を担いでいた。
菊原 由美子さん愛知県岡崎市出身。趣味はオートバイ。250ccのバイクでツーリングをして、山の上に登ったり、雄大な景色を眺めたりするのが好き。
島嵜 正夫さん埼玉県秩父市出身。趣味は山登りだが、福島に来てからはまだ。週末は片道4時間かけて自宅に帰り、畑の草刈りや植木の世話、家事などをしている。
浅間 英光さん東京都品川区出身。現在は埼玉県草加市に自宅がある。肩にある大きなコブは、昔から神輿を担いできた勲章。ラーメンを食べるのも好き。
- お勤め先
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東電物流株式会社
1977年に設立。震災直後の2011年7月に福島安定化流通センター(現福島支社)を設置し、1Fの安定化・廃炉に向けた物流にかかわっている。