2017年3月1日
- カンニング
竹山 さん - お笑い芸人
些細なことでいきなりキレて笑いを誘う「キレ芸」でおなじみのカンニング竹山さん。その芸風とは裏腹に、温かいまなざしで被災地の人々と向き合い、自分なりのやり方で復興にエールを送り続けています。2016年5月には、出身地福岡の後輩でもある漫才コンビ「髭男爵」のひぐち君とともに福島第一原子力発電所を見学に訪れました。防護服なしで作業できるようになった環境に安心する一方、廃炉作業の大変さも痛感。誰かがやらなければいけない作業に従事する原発作業員の方に、自然と感謝の気持ちが沸き起こったと言います。
カンニング竹山さんからの応援メッセージ
地域の人々とともに「長い目で見てのお手伝い」をしていく
竹山さん:
震災後は仕事やプライベートでたびたび福島を訪れています。実際に福島に足を運び、地元の人と触れ合うことで、わかったことがあります。みんな福島の未来を考え、元気に前を向いて生きている。テレビや新聞で報道されているイメージとは全然違います。
自分の目で見て確かめないと本当のことはわからない。色々と福島の現状がわかるようになるにつれ、廃炉作業が進む福島第一原子力発電所がどうなっているか知りたいと思いました。そこで親交のある方に頼んで、東京電力との間を取り持ってもらい、2016年5月31日に福島第一原子力発電所を訪れました。テレビ番組の企画とかではなく、僕自身が希望した見学です。
実際に行ってみると、行く前とは180度印象が変わりました。場所にもよりますが、まず防護服も全面マスクも必要ない。ポケット線量計は持たされましたが、ヘルメットをかぶり、立ち入り証を入れるベストを着るだけ。作業員の方は普通の作業服姿で防じんマスクをして作業しています。
大勢の人が働いていて、女性の方も結構いる。笑いも活気もあって、会えばみなさん明るく挨拶してくれるし、普通の工事現場と何ら変わらなかったですね。敷地内にはコンビニや食堂もあります。
もちろん、人が近づけないところはありますが、敷地内の9割は防護服も全面マスクも必要がない放射線量にまで下がっているそうです。土の地面をコンクリートやモルタルで覆い、周囲の木を切ったり除染作業を進めた結果だと聞いています。
「今」を知ることが「未来」を知ることにつながる
竹山さん:
でも、その様子をツイッターで発信したら、大勢の人から叩かれました。マスコミの人にまで「そんなことはない」と言われる始末。僕が芸能人だから、いいところしか見せていないと言うんですね。そんなことはありません。敷地内あちこち見せてもらったし「ここから先は行けません」という場所の手前まで見せてもらいました。
どうしてそういう反応になるのか。僕なりに考えて、思い至ったことがあります。それは「知らないから」なんでしょうね。線量計のアラームが鳴り響く中、完全防護の人たちが決死の覚悟で作業をしている――。多くの人は、事故直後のそういうイメージのままだと思うんです。廃炉作業の現場が、普通の工事現場のようになっているなんてとても思えないのでしょう。知ることって、本当に大切ですね。さまざまな批判にさらされましたが、自分の目で現場を確認できたことは本当に良かったと思います。
今現在も福島第一原子力発電所では廃炉に向けた作業が着々と進められています。原発に対しては、さまざまな意見があるのは当然です。でも、作業員の方が汗を流さなければ、廃炉作業は進まない。これも事実だと思うんです。
原発は、いつかは廃炉にしなければなりません。日本だけでなく、原発を持つ世界中の国々がいつかは直面する課題です。福島第一原子力発電所は、今まさにその課題に取り組んでいる。廃炉作業の技術もおそらく一番発達した場所でしょう。一番難しいことをやっている、トップクラスの技術がそこにある。これがいずれ日本、そして世界に広がっていく。その拠点になっているのが福島第一原子力発電所なんだという思いを強く持ちました。日々、必死に作業されている原発作業員の方には感謝の気持ちでいっぱいです。
カンニング竹山さんの被災地支援活動
福島を訪れ、自分の目で見て感じたことを発信していく
竹山さん:
福島第一原子力発電所の事故があり、世間が原発反対の流れに染まっていくのを見て、腹立たしさを感じたのを覚えています。そこでつくった電気を東京でたくさん使っていたのに、事故があったら知らん顔かよって。原発に対する意見はさまざまですけど、それ以前にやらなきゃいけないことがある。それはみんなわかっているはずです。事態を収束させるために必死に作業している人たちがいる。そのことに対して知らん顔はしたくなかったんです。そこから僕と福島との付き合いが始まりました。
復興には何十年という長い年月がかかります。だったら、自分は無理なく続けられることをやろうと思いました。一時的な支援ではなく、これから長く続く復興に寄り添うように福島と付き合っていきたい。自分なりの方法として思いついたのが「観光」することです。僕が福島を訪れて、その情報を発信していけば「カンニング竹山が行ってるなら、俺も行こうか」と思ってもらえるのではないか。そう考えたんです。
実際、福島を訪れると、いい温泉はいっぱいあるし、見所もたくさんある。おいしいラーメン屋さんが多いのも驚きましたね。時間があると福島を訪れ、あちこち観光しているうち、地元に友達もたくさんできました。
福島では復興に向けて、何とか地元を盛り上げようとみんな必死で頑張っています。そのことを少しでも多くの人に知ってもらいたい。これからも折に触れ、福島を訪れ、現地の生の情報を発信していきます。それが僕なりの復興のお手伝いです。
- プロフィール
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お笑い芸人
カンニング竹山さん福岡県出身。高校卒業後に上京し、大学受験のために予備校に通う一方、お笑い芸人を志す。1992年、小学校の同級生だった中島忠幸さんと「カンニング」を結成。2006年12月20日、病気療養中の中島さんが死去。その後も「カンニング竹山」として単独で活動を続け、現在はバラエティーやドラマ、映画などで幅広く活躍中。震災直後から公私にわたり福島を訪れ、地元の人たちとの交流を続ける。その情報はツイッターで随時発信している。
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