2020年2月27日
- ラッシャー板前さん
- お笑い芸人
旅番組のレポーターとして活躍するタレントのラッシャー板前さん。震災の一週間前にも「旅サラダ」のレポーターとしていわき市の久之浜港に訪れるなど、福島にはよく訪れていました。震災後は福島を応援する気持ちが非常に強く、福島の食のレポートを通して福島の復興に尽力しています。そんな福島に強い思いを持つラッシャー板前さんは、2020年1月20日に廃炉資料館や福島第一原子力発電所構内を訪れ、廃炉作業の現状を視察しました。この視察を通して何を思い、何を感じたのか。ラッシャー板前さんにお話をうかがいました。
廃炉作業をしていただいている皆さんには
ご苦労様なんて言えません。ただただ感謝です
まず、福島第一原子力発電所を視察されてみてどんな感想を持ちましたか。
福島第一原子力発電所が今どうなっているのか、ずっと気になっていました。でも訪問する機会がなくて今日やっと来ることができました。本当にありがとうございます。
初めて訪問してまず驚いたのが、広大な敷地のほとんどの場所を、特別な服装をすることなく、普通に歩くことができるということです。同時に、予想していた以上に廃炉が進んでいるんだな、と安心しました。テレビで見た一号機や二号機、三号機、四号機の近くまで行けるとは思ってもいませんでした。
視察に来る前とその後で、何か見方が変わったことなどはありましたか。
ニュースなどでも水の処理の問題が取り上げられていたので、どうなるんだろうとは思っていましたが、貯蔵タンクがどんどん作られることで、これだけ広大な敷地が手狭になりつつある現実を見て、処分の仕方が早く決まるといいな、という想いは強くなりました。
また、廃炉までには40年かかかると聞いていて、気が遠くなるように感じていたのですが、確実に作業は進んでいてよかったです。日々作業をしていただいている皆さんに、ただ感謝したい気持ちで一杯です。ご苦労様なんて言えません。ただ、感謝です。
テレビで福島の米を取り上げたとき
農家や農協の方たちから「ありがとう」と言っていただいた
福島にはレポーターの仕事でよく来られていたそうですね。
はい、テレビ番組でレポーターの仕事をしているのですが、震災前は毎月のように福島にロケ取材に来ていました。震災の一週間前にも「旅サラダ」のレポーターとして、いわき市の久之浜港を訪問しました。それだけに震災の被害に遭われた方たちのことを人ごとだとは思えませんでした。
あれから9年が経って、福島の方たちに明るさが戻ってきたことは、とても嬉しく思っています。ただ、課題はまだまだ山積みです。街の景色も大きく変わりました。いまだに津波の傷跡が残っているところもあります。それを目にする度に、心から頑張ってください、とエールを送っています。
テレビ番組での福島の扱いは以前と変わったのでしょうか。
震災から半年は仕事で福島に来ることはなくなりましたが、最近では福島での食レポの仕事が復活してきたと実感しています。米や果物、野菜についての取材は増えてきました。最初に福島の米を取り上げたときは、農家や農協の方たちから「ありがとう」と言っていただきました。それがとてもうれしくもあり、食レポをやっていてよかったと心から思いました。
様々な風評被害があり、福島の方たちは悔しい想いをしてきたと思いますが、他県よりも厳しい基準を設けて、それをクリアしているのですから、福島の食材はどこよりも安全だと思っています。
ただ、残念なことに海産物のレポートはまだできていません。これが非常に残念です。好きなんですよね、福島の海産物。個人的には以前取材でお世話になったところに、魚を食べに行ったりしています。
早くテレビで福島の海産物をレポートさせていただき、福島で漁業をやっている方たちを元気づけたいですね。それが私の役目だと思っています。
防護服は思った以上に視界が広くて作業がしやすい
色々と工夫されていることが分かった
防護服を試着していただきましたが、どうでしたか。
慣れていないので着るのには手間取りましたが、使い捨ての上下の着衣は軽くて動きやすかったですね。頭からすっぽりかぶる全面マスクもつけてみましたが、思った以上に視界が広くて、これなら作業もしやすそうだと感じました。色々と工夫されているのがよく分かりました。
最後に、福島第一原子力発電所で働く皆さんに対してどういう思いをお持ちですか。
廃炉は本当に大変なお仕事だとわかりました。ただ、長い目で見て廃炉はどうしても避けては通れません。本当の意味での福島の復興はそこから始まるわけですから。是非、安全第一で、無理をせずに作業に取り組んでほしいと思います。
ただ、どうしても言いたいのは、これだけご苦労されているのですから、この廃炉で得られたことは、将来に役立てられると思います。廃炉作業というのは、日本の技術力の結晶でもあるわけですから。そのノウハウを是非世界に広めてもらいたいですね。
廃炉は本当に大変な仕事ですが、本当の意味での福島の復興はここから始まると思います。
安全第一で無理をせずに作業に取り組んでください。
- プロフィール
-
お笑い芸人
ラッシャー板前さん1963年生まれ。千葉県松戸市出身。日本のお笑い芸人で、たけし軍団のメンバーである。芸名はプロレスラーのラッシャー木村をもじったもので、以前板前修業をしていたことに由来する。「オレたちひょうきん族」などに出演。「スーパーJチャンネル」、「朝だ!生です旅サラダ」、「ちい散歩」などテレビの旅番組のレポーターとして活躍している。
関連コンテンツ
-
応援メッセージ 03
クリエイティブディレクター
> インタビューを読む
箭内道彦さん -
応援メッセージ 02
コピーライター、エッセイスト、
> インタビューを読む
「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰
糸井 重里さん -
応援メッセージ一覧
さまざまな方々から
> メッセージを読む
応援メッセージが
届き始めています。 -
インタビュー [特別編]
マンガ『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』作者
> インタビューを読む
竜田 一人さん