建屋最上階の除染じょせん・遮しゃへいをしたことで
カバーを取り付けることができた

まず、みなさんのお仕事を教えてください。

岡田さん：

　私は、JVの所長としてこの工事を担当たんとうしました。7年4カ月の間に工事にかかわった人は、延のべ人数で社員が11万5000人、作業員が16万3000人にのぼる、まさに大工事でした。

飯田さん：

　私たちの会社は、コンクリート工事や資材の運搬うんぱん、機械の点検など、工事全般ぜんぱんに渡わたるさまざまな役割やくわりを担になってきました。私は、福島営業所の所長として、現場の管理を行いました。

鮫島さん：

　私たちは鳶とび工事の会社で、現場で鉄骨てっこつや足場を組み立てるなど、高い場所で作業をします。私は会社の現場代理人、いわば番頭のような立場で、社員や作業員に仕事の指示をする役割やくわりでした。

喜瀬さん：

　私は職長として、現場で直接作業員の指揮しきを執とりながら作業にあたっていました。

仕事はどのような手順で進められたのでしょうか。

岡田さん：

　まず、建屋周囲の工事の妨さまたげになる部分を解体し、作業用の構台を架設かせつしました。遠隔操作えんかくそうさの重機を用い、オペレーティングフロア（オペフロ）上のガレキを取り除のぞきます。次に、人が立ち入って工事ができるようオペフロの除染じょせん・遮しゃへい工事を行いました。それで放射線量ほうしゃせんりょうが下がったのを見きわめて、燃料取り出しカバー鉄骨てっこつを組み立てました。

かまぼこ型のドームは軽量なだけでなく
内部の空間を広くとれるのが利点

カバーはずいぶん大きなものですが、なぜかまぼこ型にしたのですか。

岡田さん：

　カバーの大きさは、かまぼこ部の高さ約18ｍ、長さが約57×23ｍという巨大きょだいなものです。8つの部分に分けて小名浜の作業場でつくり、船で運んできて1Fで組み立てました。かまぼこ型にした大きな理由は、四角くした場合に比べて軽くでき、内部で作業する空間を広く取れるためです。また、3つのピンで接合することで支持することができ、1F構内での組み立て作業がしやすいという利点もありました。ちなみに我々われわれはロールケーキと呼よんでいました。

• 3号機の燃料取り出し用カバー設置工事
  （ドーム屋根1組目）
• 3号機の燃料取り出し用カバー設置工事
  （ドーム屋根2組目）
• 3号機の燃料取り出し用カバー設置工事
  （全てのドーム屋根ユニットの吊り上げを完了）

岡田さん：

　一番大変だったのがオペフロの除染じょせんでした。ドームを組み立てて調整するには、どうしても人が立ち入らなくてはなりません。そのために、建屋の最上階にあるオペフロの放射線量ほうしゃせんりょうを下げる必要がありました。しかし、放射線ほうしゃせんという見えないものを相手にするので、なかなか思うようにいきません。最初は半年程度と考えていた工程が2年半かかってしまいました。